2007 Fiscal Year Annual Research Report
B細胞におけるSTIM1依存的カルシウム流入機構の解析
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19790368
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
馬場 義裕 The Institute of Physical and Chemical Research, 分化制御研究グループ, 研究員 (20415269)
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Keywords | STIM1 / store-operated calcium / 肥満細胞 / アレルギー |
Research Abstract |
免疫細胞におけるカルシウムシグナルは、免疫反応の重要な誘因として知られており、持続的なカルシウムシグナルは細胞内カルシウムストアである小胞体からのカルシウム放出が引き金となって引き起こされる細胞外からのカルシウム流入(ストア作動性カルシウム流入:SOC)が主要なソースとなるが、そのメカニズムは不明であった。申請者はSOC活性化機構の解明を目的とし、これら成果が免疫不全症、自己免疫疾患、アレルギーといった免疫病の理解、さらには免疫系をコントロールするための新規薬剤の創製にもつながるものと期待して研究を進めている。 当該年度は、特に肥満細胞に注目して解析を進めた。肥満細胞はアレルギー反応を引き起こすためのエフェクター細胞であり、アレルゲンの刺激によって脱顆粒を起こすと、ヒスタミン等のメディエーターが放出され、血管拡張、血管透過性の充進などの即時型反応が起こり、さらに、サイトカインなどの作用で炎症を主体とする遅発型反応が起こる。これらの現象にカルシウムが関与する事が知られているが、SOCチャネルを介するようなカルシウム流入および持続的カルシウムシグナルの役割は不明である。そこで我々はこの疑問にアプローチするため、小胞体カルシウムセンサーであり、SOC流入に必須の分子であるSTIM1を欠失させたノックアウトマウスを作製した。胎仔肝細胞から分化させたSTIM1欠損肥満細胞を用いる事により、STIM1がIgE依存的な抗原刺激によるカルシウム流入に必須であることを明らかにした。さらに、STIM1が肥満細胞の脱顆粒、サイトカイン産生、そしてアナフィラキシー反応において重要な役割を果すことを見出した。 本研究内容は、STIM1が誘導する肥満細胞内へのカルシウム流入がアレルギー反応に必須であることを示しており、STIM1が抗アレルギー薬の標的となり得る可能性を示唆した重要な結果である。
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Research Products
(1 results)