2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞傷害性T細胞を欠損する野生由来近交系マウスを用いたT細胞分化決定因子の探索
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19790369
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
北浦 靖之 The Institute of Physical and Chemical Research, 実験動物開発室, 研究員 (90442954)
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Keywords | T細胞 / CD8 / 野生マウス / QTL |
Research Abstract |
RIKEN BRCにて収集・保存しているマウス系統の品質・特性検査の一つとしてリンパ球表面抗原の発現をFACSにより解析し、免疫学的特性プロファイルの作製を行っている過程で日本産野生マウス由来の近交系KOR5においてCD8T細胞の分化が特異的に阻害され、欠損状態にあることを発見した。本研究ではKOR5を用いてCD8T細胞への分化決定分子を探索することを目的として、原因遺伝子マッピングを行った。KOR5と標準近交系C57BL/6Jとの交配によりF1マウスを作製し、CD8^+T細胞の割合を調べたところ、B6では高い値(Ave=32.5%, N=8)を示し、KOR5ではほとんど検出されず(Ave=4.5%, N=8)、F1マウスではほぼ中間の値(Ave=14.2%, N=24)を示した。さらにF1マウス同士を交配し、得られたF2マウスより末梢血におけるCD8^+T細胞の割合を調べると同時に、マイクロサテライトマーカーを用いて遺伝子型を調べ、連鎖地図を作製しMap Manager QTX b20を用いてquantitative trait locus (QTL)解析を行った。その結果、有意な値(1ikelihood ratio statistic (LRS)>16.2, P=0.05)を示す領域が第11染色体と第17染色体に存在することが示唆された。今後、F2の個体数およびマーカー数を増やすことにより、詳細なQTL解析を行うとともに、マイクロアレイによる遺伝子発現解析との相関を調べ、原因遺伝子の同定を試みる予定である。KOR5は他に例のない極めて独自性の高いマウスモデルであり、その原因遺伝子の同定はT細胞分化制御の研究において大きな発見であることが期待される。
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