2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本の医療制度における重過失致死傷罪の創設と医療安全制度の充実の可能性について
Project/Area Number |
19790370
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀口 裕正 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 寄附講座教員 (50401104)
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Keywords | 社会医学 / リスクマネジメント / 医療政策 |
Research Abstract |
平成19年度において、まず本研究を行うための基本的な概念整理・理論構築を行うため、日本の交通事故における危険運転致死傷罪の制定経緯・法的概念整理・運用状況及び、過去の日本及び海外における医療事故刑事訴追事例における理論構成の整理を行った。 その結果、交通事故については危険運転致死傷について法律制定時の議論と現行の運用を比較した場合、かなり限定的に厳格な適用を行う運用と立っていることが分かった。また、自動車運転致死傷罪の制定によって、自動車による交通事故事案の業務上過失致死傷罪の適用が無くなる運用になっているが、その結果については、まだ運用期間が短く、評価に足るだけの情報の蓄積は得られていない。 また、医療事故及びその刑事訴追に関する意識調査の調査項目の設定について、医療供給者・国民双方に医療事故に対する刑事訴追についてどのような意識を持っているのか、また現状の医療の状況についてどのような意識を持っているのかについてヒヤリング調査を実施するための調査票・手法の開発を本年度行って、来年度6月をめどに医療従事者向けの調査が行える環境が整った。 この分野においては、現在医療事故調査委員会の設立を目指す行政・政治の活動が非常に活発であり、内容のある、精度の高い意識調査報告は早急に行わねばならない状況にあるといえる。 現在、協力を仰ぐ財団法人福岡県メディカルセンターとともに、調査客体の設定、実際の調査の運用方法等の調整を行っている。
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