Research Abstract |
本研究の目的は様々な一次電池や二次電池の放電特性を測定し, 医療機器に実際に使用可能であるか, 昨年度に引き続き研究室レベル, 臨床レベルで判断することである. 今年度は, 昨年度からの基礎実験の続きとして, 酸素飽和度モニタに様々な電池を使用して, その連続作動時間を測定した.試料となる電池として, 8種類の乾電池(アルカリ乾電池6種類, マンガン乾電池1種類, オキシライド乾電池1種類)と6種類の二次電池を用いて実験を行った. 連続作動時間はリアルタイムに電源電圧を測定し, その変化から連続作動時間を測定した.同一の酸素飽和度モニタを使用して14種類の電池で各回新品を用いて5回測定した.その結果, 連続作動時間は二次電池群 : 1322±109分, アルカリ乾電池群 : 1264±56分, マンガン乾電池群 : 449±19分, オキシライド乾電池群 : 1340±31分であった.マンガン乾電池で極端に作動時間が少なかった.その他の電池群においてその動作時間に統計学的な有意差は認められなかった.次に, 1種類の二次電池を用いて模擬的に10回充放電, 20回充放電の状態を作り出し, 初回充電後, 10回充放電後, 20回充放電後における作動時間の変化を検討した. 同一の酸素飽和度モニタを使用して5セット(単III充電池×2本)の連続的に充放電した充電池を作成し, その連続作動時間を測定した.その結果, 初回充電時 : 1221±26分, 10回充放電後 : 1207±14分, 20回充放電後 : 1209±9分であり, 統計学的な有意差は認められなかった. 20回程度の充放電においては動作時間に影響を与えることは無いことが分かった.以上のことから, 酸素飽和度モニタにおいて充電池を使用することは十分に可能であると判断できた.以上の結果を元に, 院内で使用されている酸素飽和度モニタで, 実際に二次電池を使用してもらい, その充放電回数が管理できるような二次電池の管理システムの構築を試みた.具体的にはMEセンターから充電済みの二次電池を貸出し, 各病棟で実際に使用した後, MEセンターで回収, 充電して次の貸出しとする構想である.MEセンターでは貸出, 返却時にバーコードリーダを用いた履歴管理システムにより, 充放電回数を管理することが可能である. しかし, コンピュータでの管理システムの構築は実現できたが, 各病棟における二次電池の運用面における調整が難航し, 現在, 全病院的な二次電池貸出システムの構築までには至っていない.今後, 調整をしつつ実現に向けて更に研究を進め, より臨床的なデータの収集を行う予定である.
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