2007 Fiscal Year Annual Research Report
院内感染によって付加的に発生する医療費の評価手法に関する研究
Project/Area Number |
19790373
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小野寺 睦雄 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 助教 (70378199)
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Keywords | 院内感染 / 医療経済 / DPC制度 |
Research Abstract |
集中治療室で発生した院内感染に関連して付加的に発生した医療費について、診断群分類(DPC)による包括支払い制度と出来高払い制度の比較を利用した価値モデルを開発し、検討した。 その結果、院内感染を合併した患者における医療費の平均(出来高払いで算定)は、約545万円であり、一般的な入院経過であったと考えられる平均在院日数で退院した同一DPCコードの患者の医療費(約323万円)と比較した場合、院内感染による医療費が約222万円増加していることが判明した。また、このうちの約48万円(約2割)は医療機関が負担しており、残りの178万円(約8割)は社会(保険者)により負担されていることが明らかになった。増加した医療費のうちの80%は、入院料や検査、薬剤等に用いられており、DPC制度のうち、包括支払い部分に含まれるものであった。在院日数の延長(49日)による医療機関の潜在的な損失は約16万円であった。DPCコードの途中での変更が医療機関の収益に与える影響については、検討症例数が少なかったが、おおむね収益が増加する方向で変更される傾向があった。 本研究により、院内感染が1入院あたりの医療費を大きく増加させると共に、その一部は医療機関により負担されていることが示された。またこの評価モデルは、付加的に発生した医療費が、入院料や検査・薬剤料などDPC制度における包括部分に含まれることを前提としているが、実際に増加した医療費も大部分が包括部分に含まれる内容であり、この評価モデルの妥当性が示唆された。
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Research Products
(2 results)