2009 Fiscal Year Annual Research Report
術前ムピロシン軟膏鼻腔内塗布による術後MRSA感染症予防の効果と安全性の検討
Project/Area Number |
19790376
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小椋 正道 Nagoya City University, 看護学部, 助教 (50405221)
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Keywords | MRSA / ムピロシン軟膏 / ileS gene / Slime |
Research Abstract |
MRSA感染症の予防方法の一つとしてMRSA保菌者にムピロシン軟膏(MUP)を塗布するという方法があるが,MUP塗布を実施しても除菌しきれないケースが確認されている.今回我々は,MUP塗布実施後の除菌に失敗したMRSAの細菌学的特徴を明らかにするために,MUP塗布による除菌の成功例と失敗例において分離された菌株の細菌学的性状およびileS geneの変異部位の比較を行った。術前MRSAスクリーニングとMUPの塗布を実施しているA病院から分離された菌株を用いた.術前スクリーニング陽性で術後に再びMRSAが検出された株を除菌失敗例の株,術前スクリーニング陽性で術後にMRSAが検出されなかった株を除菌成功例の株としてMUPに対するMICの測定,Slime産生能の測定,ileS geneの変異部位の比較を行った.38株(成功例14株,失敗例24株)の解析を行った.成功例の株は全て感受性株であり,1株を除きSlime非産生株であったのに対し,失敗例の株は低度耐性株(MIC8~64μg/ml,3株)であるかSlime産生株であった(例外4株).ileS geneの変異部位では低度耐性株は同一部位(G1762T)に変異を起こしていた.MIC4μg/mlの感受性株は低度耐性株の共通変異部位から16bpの部位に変異を起こしており,Slime非産生であるにもかかわらず除菌できていなかった.低度耐性株は耐性に関与していると考えられる共通の変異部位を有していた。MIC4μg/mlの株は定義上では感受性株と判定されるが,低度耐性株と非常に近い部位で変異を起こしており,遺伝子学的には耐性株に近い構造を有していることが明らかとなった.本株はSlime非産生であるにもかかわらず除菌できておらず,MIC4μg/mlの株は低度耐性株と同様の対応が必要である可能性が示唆された.
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