2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790380
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
谷川 琢海 National Institute of Radiological Sciences, 重粒子医科学センター病院医療情報課, 准研究員 (40446539)
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Keywords | 医療管理学 / 地理情報システム / 放射線治療 / 医療情報学 |
Research Abstract |
本研究では二次医療圏間の放射線治療の地域偏在を明らかにすることを目的として、社会経済的指標とGIS(地理情報システム)を用いた分析を行う。平成19年度は、ジニ係数などの社会経済的指標を用いて二次医療圏ごとの放射線治療に関する医療資源の分布について分析を行った。ジニ係数は所得再配分調査などで用いられている地域格差を表すための指標であり、これまで所得格差の国際比較、都道府県間の比較に利用されている。本研究では放射線治療に関する医療資源の比較のため、都道府県ごとに二次医療圏を単位として分析を行った。人口と面積を基準として放射線科医師数のジニ係数を算出して地域比較を行った結果、全ての都道府県で医師全体の分布に比べて医療資源の偏在が大きいこと、面積に比べて人口によるジニ係数の値が大きいことが明らかになった。都道府県間で比較すると、人ロを基準とした放射線科医師のジニ係数は、最小である兵庫県(0.15)と最大である山梨県(0.76)で大きな差があった。この背景には各都道府県の医療提供体制や二次医療圏の特徴などの違いがあると考えられ、さらに分析を進める必要がある。本研究の結果は、すべての人が日常生活圏内において、いつでも、どこでも、がん診療を受けられる医療提供体制の構築(がん医療の均てん化)を進めるための基礎資料となると考えられる。平成20年4月に各都道府県が策定した医療計画では、4疾病5事業のひとつとしてがん診療体制の構築に向けた取り組みについて示されている。今後、がん診療体制に関わる圏域を解析のための地域単位として取り入れ、関連学会が公表している医療資源のデータ等も用いて分析を進める予定である。
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