2008 Fiscal Year Annual Research Report
肝移植患者におけるミコフェノール酸の適正使用を目指した母集団薬物動態・薬効解析
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19790387
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福土 将秀 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (60437233)
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Keywords | ミコフェノール酸 / 薬物動態 / 相互作用 / 医薬品適正使用 / 肝移植 |
Research Abstract |
ミコフェノール酸(MPA)は、移植後の拒絶反応抑制剤として広く使用されている。カルシニューリン阻害剤による腎毒性を軽減する目的で、mTOR阻害剤のエベロリムスやMPAが投与される症例が存在するが、両薬物の相互作用やそれらを併用する場合の至適投与法に関する情報は乏しい。そこで本研究では、MPAとエベロリムスの薬物動態学的相互作用を明らかにすることを目的に、以下の検討を行った。まず、HPLC-UV法を用いたMPAとそのグルクロン酸抱合代謝物(MPAG)の同時定量法を確立した。MRP2欠損ラット(EHBR)を用いてMPA(5mg/kg)を静脈内投与した後、MPAGの胆汁中排泄はほぼ消失し、正常ラット(SDR)と比べてMPAGの血漿中濃度が顕著に上昇することが確認された。次に、エベロリムス(5mg/kg)をSDRの小腸内に投与した後、MPA(5mg/kg)を静脈内投与し経時的に採血した。その結果、MPAの血漿中濃度には影響が認められなかったが、MPAGの血漿中濃度は有意に上昇し、MPAGの胆汁中排泄率は有意に低下した。従って、エベロリムスは、MRP2を介したMPAGの胆汁排泄を抑制することによって、相互作用を惹起することが示唆された。 以上、本研究成果に基づき、MPA/MPAGの薬物動態学的相互作用に関する有用な情報を得ることができた。今後、MPAの薬効解析を進め薬物動態情報と組み合わせることによって、MPA適正使用法へと発展できると考える。
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