2008 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクス解析によるスタチンの多面的作用の分子機序の解明
Project/Area Number |
19790389
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
塩田 正之 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 助教 (30381990)
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Keywords | スタチン / 多面的作用 / プロテオミクス / 血管内皮 |
Research Abstract |
スタチン系薬剤は主作用である血清コレステロール低下以外の機序で心血管保護効果を有すること(多面的作用)が知られている。そこで本申請課題では血管に焦点を当て、スタチンの多面的作用発現に至るAktを中心としたシグナルネットワークをプロテオーム解析にて明らかにすることを目的とした。当初の申請では、20年度は病態モデルラットの頸動脈を用いたAkt相互作用分子の同定、結合分子の生理機能の解析を行うことを予定していた。しかし条件検討の結果、頸動脈に対する遺伝子導入効率の低さおよび得られるタンパク量の少なさにより、プロテオーム解析まで進めることが困難であった。そこで、血管内皮細胞でのプロテオーム解析で得られた結果をin vivoの実験系に外挿し、マウスの下肢虚血モデルで生理機能を評価するという方法に変更した。スタチン系薬剤は多面的作用の一つとしてマウス下肢虚血に対する血管新生を促進することが報告されている。内皮細胞でのアフィニティー精製/プロテオーム解析の結果、同定した20数種類のAkt結合分子の一つであるHsc70 (Heat shock cognate protein 70)に焦点を当てて解析を進めた。確証実験の結果、Hsc70は恒常的にAktに結合していることが明らかになった。阻害剤やsiRNAを用いてHsc70の機能阻害を行うと、プラバスタチンやVEGFが誘発する内皮細胞の遊走、脈管形成を有意に抑制し、Aktのリン酸化も抑制することが明らかとなった。さらにHsc70阻害剤を処置したマウスに下肢虚血を作製すると、血管新生の有意な抑制を認めた。以上より血管内皮においてHsc70はAktの活性を制御し、内皮機能の維持に寄与していることが明らかとなった。
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[Journal Article] Pharmacogenomics of Cardiovascular Pharmacology:Molecular Network Analysis in Pleiotropic Effects of Statin-an Experimenta 1 Elucidation of the Pharmacologic Action From Protein-Protein Interaction Analysis2008
Author(s)
Shiota, M., Kusakabe, H., Hikita, Y., Nakao, T., Izumi, Y., and Iwao, H
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Journal Title
J Pharmacol Sci 107
Pages: 15-19
Peer Reviewed
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