2007 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫性肝炎における肝樹状細胞に着目した早期診断とその病態解明
Project/Area Number |
19790394
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
富山 智香子 Niigata University, 医学部, 教務職員 (80359702)
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Keywords | 自己免疫性肝炎 / 肝臓 / plasmacytoid DC / IL-10 |
Research Abstract |
自己免疫性肝炎は日本国内における年間推定患者数は少ないものの、難治性肝疾患の1つである。その発症機序及び炎症持続の原因として、自己肝細胞に対する免疫寛容破綻であることが最近言われてきており、制御性T細胞のIL-10産生低下など報告されているものの、まだ原因解明には至っていない。国内の慢性肝炎で最も多いウイルス性肝炎では、樹状細胞(dendritic cells: DC)の機能低下が報告されていることや免疫寛容破綻原因として、T細胞とDC間のanergy不全があることからも、自己免疫性肝炎でもDCが関連している可能性が十分考えられる。そこで、当該年度は自己免疫性肝炎の原因究明に焦点を当てて、モデルマウスであるConcanavalin A (Con A)投与マウスの各臓器におけるDCの経時的変化を検討した。その結果、肝DCは肝障害初期に一過性で減少し、その後増加し肝障害が回復しても増加の継続を認めた。脾DCは肝障害初期から極期前にかけて1.5倍増となったが、極期には通常レベルに戻った。また、肝障害初期に肝内でplasma-cytoid DC (pDC)、一方、脾臓ではconventional DC (cDC)の増加を認め、機能分子であるCD80, CD86分子発現増強を各分画で認めたため、各臓器で異なるDCの活性化の可能性が示唆された。更にサイトカイン産生について検討した結果、自己免疫性肝炎マウス肝及び脾DCは、炎症性サイトカインであるIL-12p70, TNFα, IL-6, MCP-1の多量な産生を認めた。しかし、IL-10は肝DCのみ産生量の低下を認めた。以上のことから、1)自己免疫性肝炎マウスで肝ではpDC、脾ではcDCが活性化し、炎症性サイトカインを産生することが肝障害惹起に関連すること、2)肝DCのIL-10産生低下について肝内T細胞調節に深く関わっていることが示唆された。
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Research Products
(2 results)