2007 Fiscal Year Annual Research Report
血小板由来マイクロパーティクルの測定による急性移植片対宿主病の評価
Project/Area Number |
19790396
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柴倉 美砂子 Okayama University, 大学院・保健学研究科, 助教 (30314694)
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Keywords | セレクチン / マイロパーティクル / 急性GVHD / 血小板 / 骨髄移植 |
Research Abstract |
急性GVHDモデルにて、急性GVHDへのセレクチンの関与を検討する。ドナーにセレクチンノックアウトマウスまたは野生型マウスを用いレシピエントマウスの急性GVHD症状を観察する。急性GVHDの誘発には骨髄細胞と脾細胞を用いるが、申請者は現在までに、セレクチンノックアウトマウスの骨髄細胞と脾細胞を移植した場合、野生型マウスのものを移植した場合より急性GVHDが著しく軽減される事を見出している。そこで、セレクチンノックアウトマウスの骨髄細胞と脾細胞のどちらにGVHDを制御する因子が存在するのかを明らかにするために、骨髄細胞をセレクチンノックアウトマウスのものにした場合、脾細胞をセレクチンノックアウトマウスのものにした場合の移植で、急性GVHDの程度を比較した。現在までに、移植する骨髄細胞をノックアウトマウスにした場合、急性GVHDによる生存曲線の延長は見られていない。脾細胞をセレクチンノックアウトマウスにした場合の急性GVHDによる生存曲線を現在確認中である。おそらく生存曲線は延長すると考えられるが、文献的にセレクチンノックアウトマウスの脾臓制御性T細胞が野生型マウスよりも1.5倍多いと報告があるため、移植した脾細胞に存在する制御性T細胞数の違いにより生存曲線の延長が見られる可能性がある。そこで、制御性T細胞を除去した骨髄移植を行って急性GVHDによる生存曲線を確認する。しかし、制御性T細胞数の違いによって生存曲線の延長が生じているのではないと考える。今後は、野生型マウスとノックアウトマウスの骨髄、脾臓のリンパ球や制御性T細胞、樹状細胞の機能、組成の違いをリンパ球混合培養試験やフローサイトメトリー、免疫組織化学染色にて調べる必要性がある。申請者は血小板が急性GVHDの増悪に関与していると考えているが、今回の急性GVHDモデルでは、ドナーにP-セレクチンノックアウトマウス骨髄を用いても、骨髄生着後の急性GVHD生存曲線に延長は見られなかった。今後はマウス急性GVHDモデルにおいて、移植する骨髄細胞量を増やし血小板の影響が多くなるように移植条件を検討する。本研究により、急性GVHDへの血小板または血小板マイクロパーティクルの関与が証明されれば、免疫抑制と異なる観点から、急性GVHD制御へむけた新しい治療の指針となる可能性がある。
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