2008 Fiscal Year Annual Research Report
血小板由来マイクロパーティクルの測定による急性移植片対宿主病の評価
Project/Area Number |
19790396
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柴倉 美砂子 Okayama University, 大学院・保健学研究科, 准教授 (30314694)
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Keywords | 急性GVHD / セレクチン / 骨髄移植 / T細胞機能 |
Research Abstract |
申請者は、マウス急性移植片対宿主病(GVHD)モデルを用い、炎症・免疫反応におけるセレクチンの役割を明らかにしようとしている。特に、血小板由来マイクロパーティクルが炎症・免疫反応増強に関与しており、急性GVHDの増悪を招いていると推測した。そこで、血小板由来マイクロパーティクルを測定することで、急性GVHDの発症、または重症度を予測できないかと考えた。この研究を行っていく内、申請者はマウス急性GVHDモデル実験において、セレクチンノックアウトマウス脾臓T細胞をレシピエントマウスに移植した時のレシピエントマウス生存曲線延長を確認した。申請者が用いたマウス急性GVHDモデルにおいて脾臓T細胞は急性GVHDを引き起こす因子として移植している。セレクチンノックアウトマウス脾臓T細胞による急性GVHDが野生型脾臓T細胞によるものより明らかに軽減されていたことから、移植したセレクチンノックアウトマウスの脾臓T細胞分布または機能異常が疑われた。現在までセレクチンは血管内皮細胞と血小板で発現するとされている。また、P-セレクチンに関しては制御性T細胞での発現が報告されている。そこで、セレクチンがT細胞の分布、分化・成熟、機能などに影響を与えている可能性が考えられた。これは、今までに無い見解である。そこで、申請者はひとまずセレクチンがT細胞にどのような作用を及ぼしているのかを調べた。 セレクチンノックアウトマウスの脾臓におけるT細胞分布をフローサイトメトリーにて、またT細胞機能をリンパ球増殖能試験にて調べ結果を得ている。これらの結果から、T細胞分布、T細胞機能においてセレクチンが重要な役割を果たしていることが判明した。また、T細胞が成熟する課程でセレクチンがおよぼす影響について骨髄移植モデルを用いて調べ、T細胞、特に制御性T細胞が分化・成熟していく課程で、セレクチンが重要な役割を果たしている可能性があることも判明した。
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