2007 Fiscal Year Annual Research Report
微量元素セレンは前立腺がんを予防するか-観察型および介入型研究-
Project/Area Number |
19790402
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大谷 哲也 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 助教 (70392339)
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Keywords | セレン補充 / 前立腺特異抗原 / 血清指質 / 血糖 |
Research Abstract |
必須微量元素のセレンは、抗がん作用、特に前立腺がんに対しての予防効果・抗腫瘍効果が、研究されている。本邦では、セレン補充による前立腺がん予防の研究はなく、本邦で増加している前立腺がんを抑制する手段の一つとして研究が必要である。われわれは、血清中の前立腺特異抗原(PSA)が高値の前立腺がんハイリスクグループに対して、セレン補充を行い、その後のPSA変化を捉える介入研究を行った。これは、前立腺がんと関連が強い血清PSA値をエンドポイントにしたもので、大規模介入の前のパイロットスタディとしての位置づけである。比較の対象として、PSA値で正常範囲のグループにも同様のセレン補充を行い、PSA変化を観察した。あわせて、血清脂質および血糖の変化も観察した。これはセレンが脂質や血糖にも影響を与えるという報告があるためである。対象は、PSAが高値(4ng/mL以上)の5名と正常値(4ng/mL未満)の7名である。各自に、毎日亜セレン酸ナトリウム1カプセル(セレンとして200μg)を内服させた。開始前、1,3,6,9カ月後の計5回、空腹時採血を行い、血清PSA、セレン、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)、その他脂質成分、血糖などの成分値を測定した。繰り返し測定の経時的変化を検討するために、線形混合モデルを用いた。結果として、血清PSAの値は変化せず、高値グループと正常値グループに分けても同様であった。セレン、GPxはともに有意に上昇した。LDLコレステロールおよび血糖が有意に減少した。血糖は、PSA高値グループに限って、有意に減少した。結論として、9ケ月間のセレン補充では、PSA変化を観察できなかった。また、PSA高値グループに限り、血糖減少効果が示唆された。
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