2007 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドローム予防における遊離脂肪酸分画および触媒酵素の病態意義
Project/Area Number |
19790403
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
松井 弘樹 Gunma University, 医学部, 助教 (20431710)
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Keywords | メタボリックシンドローム / 内臓肥満 / 心肥大・心不全 / 動脈硬化 / 飽和脂肪酸 / 不飽和脂肪酸 / 脂肪酸触媒酵素 |
Research Abstract |
これまで我々は、内臓脂肪型肥満に伴う高遊離脂肪酸血症と心血管イベントの発症リスクとの関係に着目して検討を行ってきた。まず我々は、遊離脂肪酸の構成成分である飽和脂肪酸(パルミチン酸)と一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)とに分けて、それぞれを細胞に添加して、病態に関わる遺伝子発現に関して検討を行った。その結果、心筋細胞においては肥大・不全のマーカーとなるBNPの発現がパルミチン酸添加によって増加し、不飽和脂肪酸であるオレイン酸添加で減少することを明らかにした。また、血管平滑筋細胞においては動脈硬化に関与するBMP2やKLF5の発現がパルミチン酸添加で増加することも明らかにした。以上の結果から、心・血管系に対する悪玉としての飽和脂肪酸、及び善玉としての不飽和脂肪酸の病態意義を明らかした。 また、これまでに申請者らは内臓脂肪蓄積型の肥満となったラットの心臓において、正常ラットと比して、Stearoyl-coA desaturase-1 (SCD1)の発現が高度に亢進していることを見出した。SCD1は細胞内に取り込まれた飽和脂肪酸を一価不飽和脂肪酸に変換する酵素で、肥満者の骨格筋で高度に発現しており、肥満に伴うインスリン抵抗性に強く関わることが示唆されている。さらに我々は、SCD1の発現が高血糖、高インスリン血症、高遊離脂肪酸血症といった代謝ストレスで誘導されること、また培養心筋細胞にSCD1を過剰発現させると、心臓の収縮エネルギーの源である脂肪酸代謝の低下を引き起こして、心臓に悪影響を起こしていることも明らかにした。以上より、遊離脂肪酸の触媒酵素であるSCD1が、肥満者の骨格筋のみならず心血管系においても悪影響を及ぼしている可能性を明らかにした。
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Research Products
(5 results)