2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790406
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
与五沢 真吾 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 助教 (70381936)
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Keywords | INK4ファミリー / 発癌リスク / 癌予防 / 細胞周期 / 食品成分 / 癌抑制遺伝子 / サイクリン依存性キナーゼ / 分子標的癌予防 |
Research Abstract |
非小細胞肺癌の約半数で異常が認められ、乳癌、食道癌等様々な悪性腫瘍において失活しているp16をはじめとして、その類似遺伝子p15、p18、p19は総称してINK4ファミリーと呼ばれ、いずれも重要な癌抑制遺伝子と考えられている。INK4ファミリーはサイクリン依存性キナーゼを阻害し、癌抑制遺伝子RBを脱リン酸化させ、細胞周期をG1期で停止させて細胞増殖 (発癌) を抑制する。本研究は、INK4ファミリー遺伝子の発現を誘導できる物質を主に食品成分より探索し、その機構を解析することで、新たな癌の分子標的予防法の開発を目指すものである。昨年度はINK4ファミリー中のp15の発現が、EGFRを標的とした分子標的抗癌剤ゲフィチニブや新規MEK阻害剤-JTP-70902により誘導されることを見出し、報告した。また、食品成分の中から、ヒト大腸癌由来HT29細胞を大豆由来成分のゲニステインがp15をタンパク質レベルで誘導したが、G2/M期停止1を誘導することを見出した。本年度はニガウリ等に含まれるタンニン類のククルビタシンBが、p16が機能的に失活したヒト大腸癌由来SW480細胞において高い増殖抑制効果を示すことを見出した。予想に反し、p16類似遺伝子のp15、p18、p19の誘導はみられなかったが、増殖抑制効果のメカニズムとして細胞内における活性酸素種の蓄積を介した細胞周期G2/M期停止及びアポトーシスの誘導が示唆された(Molecular Nutrition & Food Research誌に現在論文投稿、査読中)。今後さらにその標的分子を解明していく予定である。また、p15を誘導するアブラナ科植物成分であるインドール-3-カルビノールとゲニステインを各単剤では効果のない濃度で併用すると、強い細胞死が誘導されることを見出した。その分子機構としては、Akt経路の阻害と、オートファゴソームの成熟阻害が関係していると考えられた (Molecular Cancer誌に現在論文投稿、査読中)。この現象がそれぞれのもつp15誘導能とどのように関連するか等、今後も引き続いてINK4遺伝子ファミリーに注目して研究を継続したい。
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Research Products
(4 results)