Research Abstract |
【具体的内容】通院中の非アルコール性脂肪肝(NAFLD)患者における生活習慣の実態を把握し,予後(ALT値,肝疾患進展)に関連する因子を横断調査により検討した。 1.NAFLD患者の特性 平成17年8月〜平成19年7月の期間に,NAFLD)患者139人(男59,女80;平均年齢57.9歳)を登録した。対象者の臨床的特性は,BMI26.5kg/m^2,腹囲84cm,胴囲94.9cm(それぞれ平均値)であり,糖尿病,高脂血症,高血圧を有する者はそれぞれ33%,71%,28%,であった。35%の患者が肝庇護剤を投与されていた。肝性脳症を有する者は3%であったが,腹水を有する者はいなかった。生活習慣に関しては,現在喫煙者,現在飲酒者はそれぞれ23%,39%であり,運動習慣を有する者は22%であった。 2.NAFLD患者の予後関連因子 1)ALT値と関連する因子 (1)学歴・年収が高い,(2)歩行時間が長い,(3)納豆や魚,海藻,相橘類の高摂取,でALT値が低い。 (1)糖尿病を有する,(2)血清フェリチン高値,のものでALT値が高い。 2)肝疾患進展(画像所見による)と関運する因子 (1)現在体重・肝疾患指摘時体重が重い,(2)BMI高値,(3)糖尿病家族歴を有する,もので肝疾患が進展している。女性に限った検討では,「閉経年齢が高く,生理の期間が長いもので,肝疾患進展が軽度である。 【意義,重要性等】カルテ調査、血清学的検討に加え,生活習慣に関する情報を幅広く収集したことで,NAFLD患者の生活習慣(喫煙状況,飲酒状況,運動状況,食習慣など)が明らかとなった。予後関連因子の検討では,「歩行や納豆、魚、海藻、柑橘類の摂取でALT値が低い」,「肥満者ほど肝疾患が進展している」などの関連を示した。NAFLD患者の医療において,運動、食習慣などの生活習慣改善を積極的に推奨する根拠を提供する。
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