2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790407
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大藤 さとこ Osaka City University, 大学院・医学研究科, 助教 (70433290)
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Keywords | 予防医学 / 疫学研究 / 肝臓がん / 肝硬変 / 脂肪肝 / 関連因子 |
Research Abstract |
【具体的内容】 通院中の非アルコール性脂肪肝(NAFLD)患者を対象とした前向きコホート研究の追跡調査を行い、予後(肝がん、肝硬変進展)に関連する要因を検討した。解析対象は平成17年8月~平成21年3月の期間に登録されたNAFLD患者172人(男72、女100;平均年齢56.4歳)である。 1. 肝がん発生に関連する要因 合計318.6年の追跡期間中に肝がんを発生した者は2人であり、罹患率(/1,000人年)は6.28であった。肝がん発生者は2人とも男性で、登録時の平均年齢は60.3歳であった。登録時点の血小板数、プロトロンビン活性は非発生者と比べて有意に低く、肝がん発生者は登録時点において既に肝疾患が進展していた可能性が示唆される。 2. 肝硬変発生に関連する要因 登録時に画像所見で肝硬変の存在が否定的である者(US Score<5.0)102人を対象とした。合計228.9年の追跡期間中に画像所見で肝硬変と診断された者(US Score≧5.0)は5人であり、罹患率(/1,000人年)は21.8であった。 登録時点で、(1)BMIが高い、(2)肝疾患の罹病期間が長い、(3)糖尿病の既往、(4)寝る前2時間以内に炭水化物の摂取をしている者では、肝硬変の発生リスクが高い。摂取栄養素に関しては、有意差は認めないものの、マグネシウム、亜鉛、DPA、DHAの摂取量が多いほど、肝硬変発生に対するHRの低下を認めた。 【意義、重要性等】 NAFLD患者の予後関連要因(肥満、夜食など)の検討により、患者の医療において、運動・食習慣などの生活習慣改善を積極的に推奨する根拠を提供する。しかし、現時点では追跡期間が短いため、統計学的検出力が低く結果が安定していない。従って、これら因子の因果性について結論を得るには、さらなる研究の蓄積が必要と考えられる。
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