2008 Fiscal Year Annual Research Report
作業環境におけるバイオエアロゾルへの曝露状況に関する研究
Project/Area Number |
19790418
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
齊藤 宏之 National Institute of Occupational Safety and Health, Japan, 国際情報・研究振興センター, 主任研究員 (10332397)
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Keywords | 衛生 / 微生物 / 環境 / 測定方法 / 菌類 |
Research Abstract |
1.職場環境における浮遊微生物濃度測定方法の検討 一般に供用されている複数種類の浮遊微生物捕集装置ならびに,捕集時に用いる培地の検討を行った。捕集装置としては多孔式慣性衝突型サンプラーが良好な結果を示したが,製品によって結果に差が出る可能性があることも示唆された。また,国内のガイドライン幾つかのガイドライン等において,麦芽エキス寒天培地またはポテトデキストロース寒天培地の使用が推奨されているが,空気環境中の糸状菌濃度測定用として必ずしも適当ではなく,ジクロラン・グリセロール寒天培地(DG18)の使用が有利であるという結果を得た。本結果は,職場環境において浮遊微生物濃度の測定を行う際の標準的手法を検討する際に重要であると考えられる。 2.職場環境中における微生物浮遊状況の把握 古書取り扱い作業場ならびに廃棄物処理作業場において微生物浮遊状況の調査を行った結果,通常の室内における濃度と比較して数十倍〜数百倍の高い濃度であることが明らかとなった。このように高い浮遊微生物濃度の環境では,適切な防護対策を行わないと健康影響が引き起こされる可能性がある。本結果は作業場における浮遊微生物対策を考える上で重要であると考えられる。 3.健康影響の原因究明の一環としてのカビ濃度測定の実施 大学の一室にて生じた健康影響(異臭,吐き気,嘔吐,頭痛等)の原因究明の一環として,浮遊微生物の影響が考えられたことから,室内カビ濃度の測定を実施した。その結果,健康影響が生じた一室のカビ濃度が他の部屋に比べて高いことがわかった。有孔吸音壁内部に貼られていたガラス繊維マットにカビが発生しており,ここからカビが飛散していたものと推察される。現段階でカビが原因であると結論づけることはできないが,調査結果を受けて環境改善ならびに用途変更が行われた。本結果は実際に健康影響が生じた際の対策例として有用であると考えられる。
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Research Products
(2 results)