2008 Fiscal Year Annual Research Report
喫煙が動脈硬化を増悪させる機序-喫煙は低比重リポ蛋白粒子サイズを小さくする-
Project/Area Number |
19790426
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
浦浜 憲永 Kobe University, 保健学研究科, 保健学研究員 (40403208)
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Keywords | たばこ / 喫煙 / 小粒子低比重リポタンパク / sd LDL |
Research Abstract |
私たちは、喫煙が動脈硬化を惹起する一因を解明するために、「喫煙によって低比重リポ蛋白(LDL)サイズが小さくなる」という仮説を立て、喫煙以外に動脈硬化性疾患の危険因子を有さない、背景が均一な若年者集団(喫煙者と非喫煙者)において、喫煙習慣や生活習慣についてのアンケート調査と血液検査を行った。本研究では、喫煙者集団と非喫煙者集団との違いは喫煙習慣の有無だけであり、前述の小粒子LDL増加因子には差がなかったにも関わらず、LDL相対的移動度(LDLサイズを推測するのに簡便で安価な検査法)が異なる傾向が見られた。しかし、驚くべきことに、その傾向は私たちが予想していたものとは逆の傾向であり、非喫煙者集団に比べて喫煙者集団のほうがLDL相対的移動度が小さく、かつ、喫煙者集団においては、Brinkman指数(1日の喫煙本数x喫煙年数)が大きい者ほどLDL相対的移動度が小さくなる傾向が見られた。これは、対象とした若年者集団においては、短期間の喫煙によって小粒子LDLが減少する、つまり短期間の喫煙が超悪玉コレステロールを少なくする傾向があることを示している。 今回の結果は、若年者における短期間の喫煙習慣は小粒子LDLを減少させることを示しているが、本研究の問題点として対象者数が少なかったことが挙げられ、今後対象者数を増やして研究を行うことが必要であると考えられる。 喫煙習慣が心血管系に悪影響を及ぼすことは明らかであり、本研究の結果は喫煙を勧めるものでは決してないことを付記する。
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