2007 Fiscal Year Annual Research Report
アスベスト長期曝露のNK細胞活性化制御機構への影響
Project/Area Number |
19790431
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
西村 泰光 Kawasaki Medical School, 医学部, 講師 (90360271)
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Keywords | アスベスト / NK細胞 / 悪性中皮腫 / 免疫学 |
Research Abstract |
アスベスト(石綿)長期暴露がNK細胞の機能に及ぼす影響を評価するために、白石綿クリソタイルB(CB)低濃度暴露下でヒトNK細胞株YT-A1を長期間培養し、石綿曝露亜株YT-CB5を作成した。YT-CB5のNK細胞機能を解析するため、細胞傷害性、各種NKレセプターの発現量,および細胞傷害の実行を担う細胞内グランザイム/パーフォリン量をフローサイトメーターを用いて測定した。5μg/mlのCB曝露下で維持したYT-CB5は、無曝露株(YT-0rg)と比較し、曝露3ヵ月以降にK562に対する細胞傷害性が低下し始め、時間経過と共にその差は明確となった。曝露5ヵ月以上を経過したYT-CB5ではNK活性化レセプターであるNKG2D、2B4の発現レベルが顕著に低下していた。他方、NK細胞抑制性レセプターであるNKG2A及びこれと二量体を形成するCD94の発現レベルは変わらなかった。またYT-CB5では、グランザイムAの細胞内レベルが著しく低下しており、パーフォリンについても低下が見られた。また、YT-CB5を抗NKG2D及び抗2B4抗体或いはPMA/イオノマイシン、IL-12を用いて刺激しIFN-γ産生能をELISA法により測定した。しかし、何れの刺激においても,YT-CB5のIFN-γ産生能の低下は確認されなかった。これらの結果は、石綿長期暴露がNK細胞の活性化と細胞障害の実行を担う分子の発現低下を引き起こし、細胞傷害性低下を導くことを示す。このことは、石綿暴露が抗腫傷免疫減弱に作用し、発癌性とは異なる作用点で悪性中皮腫発症に関与している可能性を示唆する。YT-CB5における機能変化の解明が今後の課題である。
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