2008 Fiscal Year Annual Research Report
アスベスト長期曝露のNK細胞活性化制御機構への影響
Project/Area Number |
19790431
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
西村 泰光 Kawasaki Medical School, 医学部, 講師 (90360271)
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Keywords | アスベスト / NK細胞 / 悪性中皮腫 / 免疫学 |
Research Abstract |
石綿曝露のNK細胞機能への影響を明らかにするため、昨年度報告した石綿曝露下ヒトNK細胞株の長期培養実験に加え、石綿曝露培養後末梢血NK細胞の機能解析および悪性中皮腫患者末梢血NK細胞の機能解析を行った。その結果、石綿曝露がNK細胞活性化に関わる細胞膜上受容体の発現量に影響し、NK細胞の細胞傷害性を低下させることが明らかになった。中でも、NKp46受容体の発現量は石綿曝露で抑制されるだけでなく、悪性中皮腫患者末梢血中のNK細胞においても同様に発現低下していることが明らかになった。NKp46の発現抑制はNK細胞が石綿から解離した後も数日維持された。石綿曝露後のNK細胞は細胞傷害性の低下を示し、また末梢血中NK細胞のNKp46発現量と細胞傷害性は相関性を示した。これらの結果は、石綿曝露により機能低下したNK細胞の蓄積が形質転換細胞に生存機会を与え、悪性中皮腫発症を促進している可能性を示唆する。本研究成果は、従来から考えられていた発癌作用だけでなく、石綿の免疫機能への抑制的影響を示した画期的な内容である。また特に、NKp46という特定分子の発現量変化と悪性中皮腫疾患の関連性を示した意義は大きく、NKp46の悪性中皮腫予防分子指標としての可能性が期待される。
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