2008 Fiscal Year Annual Research Report
血清MCP-1は、メタボリック症候群と関連し動脈硬化性疾患の原因となり得るか?
Project/Area Number |
19790435
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
深水 亜子 Kurume University, 医学部, 助教 (90449926)
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Keywords | 動脈硬化 / サイトカイン / 炎症 / メタボリック症候群 / 慢性腎臓病 / 血清LDL-C / HDL-C比 |
Research Abstract |
H16年からH19年まで経年的に実施した長崎県宇久町における住民検診において、受診者総数843名(男性312名、女性531名)の一般健常人を対象として、身体測定、栄養調査、血圧測定、空腹時採血における一般生化学検査、血糖値、高感度CRPやMCP-1の測定、心臓超音波検査および頚動脈エコー検査におけるIMTの測定などを施行。得られたデータを基に、血清MCP-1値を目的変数とした疫学的解析を行った。 単変量解析においては、年齢、性別のほか、γGTPやBUN、クレアチニン、尿酸、白血球や高感度CRPと有意な関連が認められるほか、HDLコレステロールとは有意な負の関連が認められたものの、内臓脂肪を反映すると考えられるウエスト径や中性脂肪、またLDLコレステロールや血圧、空腹時血糖値や血清インスリン値との有意な関連は認められなかった。一方、血清MCP-1の4群別に各変量との関係を共分散分析を行った結果、HbA1Cや頸動脈IMT値、血清LDL-C/HDL-G比のと有意な線形性が明らかになった。しかし、メタボリック症候群の構成要素数と血清MCP-1値との関連を検討すると、これらの間に有意な線形性は得られなかった。細胞レベルでは、脂肪細胞の増加に伴う慢性炎症状態によって、組織におけるMCP-1値の上昇はすでに確認されてはいるが、循環MCP-1値は、内臓脂肪や血圧、耐糖能異常、脂質異常などとのメタボリック症候群の構成要素の中では、血清脂質、特に血清LDL-C/HDL-C比のと有意な関連があること、頸動脈硬化との強い関連があること等が明らかにたると同時に、白血球や高感度CRPなどの炎症性マーカーおよびBUN, クレアチニンなどの腎機能と強い関運が認められるという興味深い結果を得た。
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