2008 Fiscal Year Annual Research Report
超高齢者における精神機能の経年変化の把握及びその予測因子の探索に関する追跡調査
Project/Area Number |
19790438
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
岩佐 一 Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology, 東京都老人総合研究所, 主任研究員 (60435716)
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Keywords | 超高齢者 / 精神機能 / 経年変化 / 認知機能 / 心理的幸福感 / サクセスフル・エイジング |
Research Abstract |
【目的】85歳以上の超高齢者においては身体機能の低下が避けられないとされており、いかにして精神機能(認知機能ならびに心理的幸福感)を維持するかが、「サクセスフル・エイジング(幸福な老い)」を達成するために重要な課題である。本報告では、2002年に実施した、超高齢者を対象とした訪問調査(ベースライン調査)から5年後の追跡調査を行い、(1)精神機能の経年変化の予測因子の探索、(2)生命予後と精神機能の関連、について検討した。 【方法】東京都A区に在住する超高齢者(85歳以上)ならびに後期高齢者(75〜84歳)を調査対象者とした。認知機能(MMSE)、心理的幸福感(PGCモラールスケール)、体力(握力)、生活機能、聴覚機能、生活習慣病、保健習慣(喫煙、飲酒、食事)、等を測定した。招聘型健診と訪問調査を併用して調査を行い、超高齢者93名(男性27名、女性66名、平均年齢88.5±3.1歳、参加率81.6%)、後期高齢者594名(男性296名、女性298名、平均年齢75.9±3.5歳、参加率87.0%)のデータを取得した。 【結果と考察】超高齢者における成果についてのみ記す。(1)精神機能の経年変化と関連する要因の探索を、年齢、性別、教育年数、当該ベースライン得点を調整変数とするロジスティック回帰分析により行ったところ、認知機能の経年変化には、体力、心理的幸福感が、心理的幸福感の経年変化には、生活習慣病が関連を示した。(2)生命予後と諸機能の関連についてCox比例ハザードモデルにより検討したところ、体力、認知機能、主観的幸福感(有意傾向)が関連を示し、体力、認知機能、主観的幸福感が優れるほど、生命予後が良好であることが明らかとなった。 本知見より、超高齢期におけるサクセスフル・エイジングを達成するためには、身体機能だけでなく精神機能の維持が重要であることが示唆された。今後は、超高齢者における精神機能の低下予防に寄与しうる知見を引き続き提出する予定である。
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