2007 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤耐性株の出現は、B群溶血性レンサ球菌感染症の治療と予防に対する脅威となるか?
Project/Area Number |
19790441
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
河原 隆二 Osaka Prefectural Institute of Public Health, 感染症部, 研究員 (10332454)
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Keywords | 細菌感染症 / 薬剤耐性 / B群溶血性レンサ球菌 / 髄膜炎 |
Research Abstract |
2002年から2007年にかけて分離・収集したB群溶血性レンサ球菌のうち,主に医療機関で検出された111株を対象として,以下の解析を行った。 分離された菌株が,どういった薬剤に対しどの程度耐性を持っているのかを調べるため,エリスロマイシン,テトラサイクリン,クロラムフェニコール,ペニシリン,セフォタキシム,オフロキサシンの6剤を用いて薬剤感受性試験を行った。6剤の内,いずれかの薬剤に耐性を示した株は45%となり,3剤以上に耐性を示した「多剤耐性株」が13株あった。もっとも耐性率の高かった薬剤はテトラサイクリンで42%,次いでオフロキサシンの33%,その他の薬剤はいずれもほぼ20%の耐性率を示した。 さらに,これらの薬剤耐性が,どういった遺伝子によるものかを検討した。特にペニシリン,セフォタキシムに対する耐性機序は未だ明確ではないため,その耐性に関連していると予想される遺伝子の詳細な解析を試みた。その結果,ある遺伝子の変異によることが示唆されたが,未だ特定には至っておらず今後さらに詳細な検討が必要である。 また,その他の薬剤耐性関連遺伝子の解析のため,リアルタイムPCRによる検出系の構築を試みた。構築した系は,遺伝子の検出および型別ができるように設計したが,PCRそのものは動くものの型別に問題があったため,現在も検討を行っているところである。今後,良好な結果が得られるよう調整し,薬剤耐性株における耐性遺伝子の分布状況を明らかにしたい。
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