2008 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤耐性株の出現は、B群溶血性レンサ球菌感染症の治療と予防に対する脅威となるか?
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19790441
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
河原 隆二 Osaka Prefectural Institute of Public Health, 感染症部・細菌課, 主任研究員 (10332454)
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Keywords | 細菌感染症 / 薬剤耐性 / B群溶血性レンサ球菌 / 髄膜炎 |
Research Abstract |
昨年度の研究から、ヒト由来臨床分離株において薬剤耐性株が高頻度に存在することが明らかとなった。B群溶血性レンサ球菌(GBS)は家畜などを含む動物にも広く分布するため、そういった環境においても同様に薬剤耐性株が存在し、それらが何らかのルートでヒト社会に拡散していろ可能性が考えられた。そこで家畜・家禽→ヒト伝播のルートとして重要と思われる「食肉」を材料とし、そこからのGBSの分離を試みた。 検体は一般に流通している食肉類とし、分離方法としてLIM培地を増菌培地、羊血液寒天培地および血液加Granada培地(以下GranadaBA)を分離培地として用いた。いずれかの培地上でβ溶血を示すか、GranadaBA上でオレンジコロニーを形成したものを、さらに生化学的性状や血清型などによりGBSであるかどうか同定した。この結果、食肉検体から26株のGBSが検出された。 さらにこれらの株について薬剤感受性試験を実施したところ、26株中の8株がテトラサイクリン耐性、3株がニューキノロン耐性、1株がエリスロマイシン耐性を示し、ヒト由来株における耐性率のデータと類似していた。 このヒト由来株と食肉由来株との関連性を検討するため、疫学マーカーの検出解析、すなわち、(1)薬剤耐性遺伝子の同定、(2)MLST解析を実施した。(1)についてはマルチプレックスPCR及びリアルタイムPCRを用い、テトラサイクリン耐性はtetMまたはtetO、マクロライド耐性はermB、ermTR、mefEのいずれかが原因遺伝子と考えられた。一方、(2)の解析では、食肉由来株とヒト由来株と同じST型を示すものが見つかった。今後(1)、(2)の結果を照合し、特に同じ耐性遺伝子・ST型を持つ株について、PFGE等を用いて詳細に解析すれば、食肉を介した家畜・家禽→ヒトへの拡散が明らかとなる可能性がある。
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Research Products
(2 results)