2007 Fiscal Year Annual Research Report
カテコールアミン心筋障害におけるコネキシン43の関与
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19790443
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新谷 香 (石田 香) The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 助教 (50345047)
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Keywords | コネキシン / 心臟突然死 / 収縮帯壊死 |
Research Abstract |
心交感神経活性の亢進は、心筋収縮不全や心筋傷害といったカテコールアミン心筋障害を引き起こす。カテコールアミンの過剰分泌や虚血によって引き起こされると考えられている収縮帯壊死は心臓突然死の重要な指標である。この収縮帯壊死は心筋細胞の介在板を介して広がるように観察されることから、Gap junctions(GJs)が関与しているとの仮説があるが、未だin vivoで立証されていない。このことから、今年度はラット冠状動脈結紮モデルを用いて、心GJの主要構成タンパクであるコネキシン43(Cx43)と収縮帯壊死の伝播の関係を中心に検討を行い、以下のような結果を得た。 1.虚血30分で虚血領域のCx43は非虚血領域のそれと比較して2-3倍に上昇する。 2.このとき、Cx43のup-regulateしている虚血領域においてのみ、GJsを介した細胞間情報伝達(GJ intercellular communication,GJIC)活性が上昇する。 3.虚血30分後再灌流を行うと、収縮帯が虚血領域の中間層に広がり、再灌流5分後には虚血領域の約30%を占めるが、再灌流の直前にGJsのブロッカーであるcarbenoxolone(CBX)を1分間静脈投与すると、その収縮帯の広がりは1/3に狭小化した。 4.収縮帯壊死はその後の心筋梗塞巣の進展に深く関わっていると考えられている。そこで、再灌流6時間後の梗塞サイズをTTC染色で比較すると、PBS投与群(対照群)の梗塞サイズは虚血領域の約60%を占めたが、CBX投与群は約40%にとどまっていた。 以上のように、本研究は収縮帯壊死の伝播にGJsが関与していることをin vivoで初めて明らかにした。GJICが虚血領域でのみ活性化し、収縮帯壊死の伝播を亢進していることは、収縮帯壊死が虚血領域にのみ集簇して観察される現象を説明し得る。
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