2007 Fiscal Year Annual Research Report
被虐待児にみられる打撲傷の客観的な損傷検査法の確立と実用化
Project/Area Number |
19790447
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
美作 宗太郎 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 助教 (50284998)
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Keywords | 小児虐待 / 打撲傷 / 皮下出血 / 分光測色計 / 超音波診断 / 紫外線撮影 |
Research Abstract |
新旧混在する打撲傷(皮下出血)は、身体的虐待の有力な診断根拠とされている。しかし、打撲傷の受傷時期の推定は難しく、評価の客観性に乏しいという問題点を抱えている。これまでの研究で、測色学的手法を用いた打撲傷の色調の定量化が受傷時期の推定に繋がることが判明したが、皮下出血の深度(皮膚面から出血までの深さ)と厚み(出血自体の厚さ)による違い、また陳旧な打撲傷における測色ポイントの選択にばらつきがあることにより、大きな誤差が生じている可能性があった。 本研究では、健常小児が日常生活で転倒・打撲するなどして受傷した打撲傷について、経時的に分光測色計を用いて測色学的評価をするとともに、超音波診断装置によって皮下深度と重傷度を測定した。従来から受傷時期の推定に利用可能と考えられている三刺激値グラフのピークにおける経過時間と測色値、540nmと570nmにおける分光反射率の変化グラフのピークにおける経過時間などの因子について、皮下出血の平均皮下深度、最大出血厚との関連性を調べた。現時点における結果は、平均皮下深度は、三刺激値グラフのピークにおける経過時間と測色値、540nmと570nmにおける分光反射率グラフのピークにおける経過時間などのいずれの因子とも有意な関連性は認められておらず、最大出血厚は、測色値の一因子と有意な相関性が認められたが、その他の因子との関連性は認められていない。この原因としては、現在のところ皮下深層の出血や重傷な打撲傷の症例がないためと思われるが、逆に、皮下浅層にとどまる軽度〜中等度の皮下出血であれば、測色学的評価に大きな影響を与えないと考えることもできる。次年度は、更に様々な打撲傷症例を集積して検討するとともに、紫外線撮影装置を用いた陳旧な打撲傷における測色ポイントの選択にも力を注ぐ予定である。
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