2009 Fiscal Year Annual Research Report
ホルマリン固定臓器からの薬毒物のスクリーニング法の開発
Project/Area Number |
19790451
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
辻川 健治 National Research Institute of Police Science, 法科学第三部, 研究員 (50356193)
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Keywords | 法医鑑定学 / 薬毒物スクリーニング |
Research Abstract |
研究の目的 近年、各種事件・事故への薬毒物の関与が問題となっていることから、薬毒物スクリーニングに関する研究が精力的に行われている。薬毒物スクリーニングは、採取が容易な尿や血液が検体として用いられることが多い。しかしながら、殺人事件等の重大犯罪においては、事件発生後歳月が経過してから薬毒物検査を要請されることもあり、尿や血液が保存されていないことが多い。―方、臓器は長期保存されている可能性が高く、尿や血液のよい代替試料である。しかしながら、臓器中の薬毒物のスクリーニングについては、ほとんど研究が行われてこなかった。そこで、本研究では臓器中の薬毒物スクリーニング法について検討を行うことを目的とした。 研究成果 肝臓をメタノールでホモジナイズした後、精神神経作用薬の標準品を添加し、試料調製を行った後にLC-MS/MSで分析し、回収率及び繰り返し再現性について評価した。分析用試料の調製は以下の手順で行った:1)メタノールホモジネートを冷凍により脱脂、2)脱脂後の上清を溶媒留去、3)残さをヘキサンーアセトニトリル分配により洗浄、4)アセトニトリル層を溶媒留去、5)残さを塩基性水溶液に溶解後に有機溶媒抽出、6)有機溶媒を留去、7)残さを90%メタノールに溶解後ろ過、8)ろ液を冷凍により脱脂。本法により、LC-MS/MSで分析可能な程度まで十分に脱脂された試料を調製することができた。また、本法による精神神経作用薬35種(ベンゾジアゼピン類、三環系抗うつ薬、フェノチアジン類等)の回収率は40%以上であり、繰り返し再現性(CV%、n=6)は10%以下であった。これらの結果から、本法はLC-MS/MSによる薬毒物スクリーニングに適した方法であると判断された。
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