2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790453
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
金森 達之 National Research Institute of Police Science, 法科学第三部, 主任研究官 (40356192)
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Keywords | ラット肝細胞 / 乱用薬物 / 代謝 / LC-MS / MS |
Research Abstract |
市販の3次元培養ラット肝細胞(TESTLIVER^<TM>-rat-)を乱用薬物とともに培養し、代謝物の生成パターンを調べた。12wellプレートにTESTLIVER^<TM>-rat-、培地、薬物(覚せい剤メタンフェタミン(MA)あるいは麻薬2C-B、濃度10μM)を添加し、CO_2インキュベーター中で振とう培養した。培養開始より、6、24、48時間後に培養液をサンプリングし、加水分解処理をした後、液液抽出にて代謝物を抽出し、LC-MS/MSによる高感度分析を行った。MAの培養液には、代謝物として、少量のアンフェタミン及びP-ヒドロキシメタンフェタミンが検出された。これらは、いずれもラット尿中への排泄が知られている代謝物である。一方、MA未変化体は48時間後においても比較的多く残存し、MAはラット肝細胞による代謝を比較的受けにくいことが示唆された。2C-Bの培養液には、代謝物として、O-脱メチル体及び2種類のO-モノ脱メチルーN-アセチル体が検出され、特に後者の代謝物は比較的多く検出された。O-モノ脱メチルーN-アセチル体は、ラット尿中主代謝物であることが既に報告されている。2C-B未変化体は、48時間後にはほぼ消失し、2C-Bは、ラット肝細胞により比較的速やかに代謝されることが明らかとなった。以上の結果から、ラット肝細胞により、ラット尿中への排泄が知られている代謝物の生成が確認されたことから、本実験で用いた3次元培養肝細胞が、乱用薬物の代謝を予測する有用なツールとなる得ることが示唆された。次年度は、市販の3次元培養ヒト肝細胞(TESTLIVER^<TM>-human-)を用いた代謝実験を行い、ヒトにおける乱用薬物代謝モデルとしての有用性を明らかにする。
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