2007 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性胃腸症に対する消化管運動機能改善薬の有効性についての検討
Project/Area Number |
19790460
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鬼頭 佳彦 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 助教 (60381787)
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Keywords | 糖尿病 / カハールの介在細胞 / 緩電位 / 小腸 / 結腸 / 経壁電気刺激 / 神経筋接合部電位 / 細胞内誘導法 |
Research Abstract |
糖尿病性胃腸症に対する消化管運動機能改善薬の有効性を検討するにあたり,まず糖尿病モデル動物から摘出した平滑筋標本の性質を調べる目的で以下の2種類の実験を行った。実験には既存の糖尿病モデル動物のなかで最も安定して高血糖を呈すると報告されているZDFラットを用いた。糖尿病であるZDF(fa/fa)ラットは対照群であるZDF(lean)ラットに比べて有意に高血糖を示した(155mg/dl(lean),549mg/dl(fa/fa),p<0.01)。 1.小腸:胃や小腸の筋間神経叢にはカハールの介在細胞(interstitial cells of Cajal,ICC)と呼ばれる細胞群がネットワークを形成しており,消化管の歩調取り細胞として機能している。ICCが発生する歩調取り電位が平滑筋層に伝播することで平滑筋細胞において緩電位(スローウェーブ)が発生する。糖尿病ラット(fa/fa)小腸輪走筋の緩電位を測定したところ,正常ラット(lean)と同様の緩電位を発生していた。さらにATP感受性Kチャネル開口薬であるピナシジルは糖尿病ラット(fa/fa)と正常ラット(lean)のいずれの輪走筋細胞も同程度に過分極させた。 2.結腸:糖尿病性胃腸症の症状の一つに自律神経障害がある。結腸平滑筋に経壁電気刺激を行い,神経筋接合部電位を測定することで神経の機能を評価した。正常ラット(lean)は経壁電気刺激により一過性の早い抑制性接合部電位とゆっくりとした時間経過の抑制性接合部電位,さらにリバウンドの脱分極を発生した。同様の接合部電位が糖尿病ラット(fa/fa)においても記録された。 以上のことから,ZDFラットにおいて小腸ICC及び結腸の自律神経は高血糖にも関わらず正常に機能していることが明らかとなった。実験に用いたZDF(fa/fa)ラットは常に安定して高血糖を示したことから,糖尿病性胃腸症は必ずしも血糖値の上昇とは相関しない可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)