2008 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性胃腸症に対する消化管運動機能改善薬の有効性についての検討
Project/Area Number |
19790460
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鬼頭 佳彦 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 助教 (60381787)
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Keywords | 糖尿病 / カハールの介在細胞 / 単電位 / プロスタノイド / 六君子湯 / Kチャネル / 胃底部 / 細胞内誘導法 |
Research Abstract |
1. ラット胃噴門部を用いて単電位の発生機序について検討した。ラット胃噴門部輪走平滑筋細胞は静止膜電位が-40mVから-50mVで、単電位を不規則に発生していた。細胞内Caポンプの阻害剤であるシクロピアゾン酸(5μM)は膜を約10mV脱分極させた後、単電位を消失させた。また、PLC阻害剤のNCDC(30μM)は膜を数mV過分極させ、単電位を消失させた。シクロオキシゲナーゼ阻害剤であるインドメタシン(10μM)は膜を数mV過分極させ、単電位の発生を減少させた。インドメタシン存在下において、PGE2アナログであるエンプロスチル(150ng/ml)は、膜を約10mV脱分極させ単電位を再発生させた。以上の結果から、ラット胃噴門部では内因性プロスタノイドが細胞内Ca動員機構を介して単電位発生に寄与している可能性が示唆された。 2. ラット胃底部輪走筋標本において六君子湯(0.1-5mg/ml)はエンプロスチル(PGE2アナログ)により誘発される持続性収縮を用量依存的に弛緩させた。六君子湯の弛緩作用はグアニル酸シクラーゼ阻害剤であるODQの影響を受けなかった。六君子湯による弛緩は早い成分と持続性成分の二相性から成り、早い弛緩成分はSKチャネルの阻害剤であるアパミンにより消失した。六君子湯はエンプロスチルによる脱分極反応を抑制した。六君子湯による過分極反応は早い成分と持続性成分の二相性から成り、アパミンにより早い過分極成分は消失した。自然発症2型糖尿病ラットであるGKラットの胃底部輪走筋では一酸化窒素作動性神経の機能が低下していたが、六君子湯はGKラットの胃底部輪走筋を対照であるWistarラットよりも強く弛緩させた。以上の結果から、六君子湯はSKチャネルの活性化による膜の過分極反応と電位変化を伴わない平滑筋への直接的な作用によりラット胃底部輪走筋を弛緩させることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)