2008 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌におけるCancer stem cellと抗癌剤耐性
Project/Area Number |
19790466
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小暮 高之 Tohoku University, 病院, 医員 (70400330)
|
Keywords | 肝細胞癌 / 癌幹細胞 |
Research Abstract |
(1)肝癌組織、細胞株におけるABCG2発現 : ヒト肝癌組織の高分化型、中分化型、低分化型肝癌すべてにおいて、一部の細胞にABCG2陽性細胞を認めた。陽性細胞の頻度は、分化度の低下に伴い低下し、染色性は高分化で淡く染まり、分化度が低下するにつれ、染色性が濃くなる傾向を呈した。背景肝では胆管に発現を認めた肝癌細胞株の蛍光免疫染色では、細胞膜にABCG2を発現する細胞がごく一部に認められた。フローサイトメトリーの検討で、ABCG2陽性細胞の頻度は0.7%から6.8%であった。(2)ABCG2陽性細胞における増殖能、遊走能 : 分離した陽性細胞を約2週間の培養し、経時的に増殖を評価したところ、4種の細胞株(Huh7, Li7, PLC/PRF/5, Hep3B)の検討では、ABCG2陰性画分と比較して有意な差を認めなかった。8μMporeインサートのmigration chamberを用いた遊走能の検討では、ABCG2陽性画分が高い遊走能を示した。(3)ABCG2陽性細胞の抗癌剤感受性 : ABCG2陽性細胞は、陰性細胞に比べてdoxorubicin, cisplatinに抵抗性を示した。(4)腫瘍形成能 : 分離した肝癌細胞株を免疫不全マウスに皮下接種後5週間観察し、腫瘍形成の有無を検討したところ、ABCG2陽性画分では、1×10^3個から1×10^5個の接種で腫瘍形成を認めた。陰性画分では5週の時点では腫瘍形成認めなかった。(5)ABCG2陽性細胞の遺伝子プロファイル : ABCG2陽性細胞の遺伝子発現を網羅的に検討したところ、陰性細胞に比較して増殖・分化・血管新生などに関連する複数の遺伝子の発現増強が認められ、Li7とHuh7に共通した発現増強を認める遺伝子群が29あった。(6)結論 : 肝細胞癌において、ABCG2を発現し、他と特徴を異にする細胞集団が存在し、これらは、抗癌剤に耐性を示し、腫瘍形成能を有していた。ABCG2陽性画分にcancer stem cellが含まれる可能性が示唆され、これらに共通して発現が増強している遺伝子群が同定された。
|
Research Products
(4 results)