2007 Fiscal Year Annual Research Report
質量分析を用いた血中変異SPINK1測定系による膵癌早期診断への挑戦
Project/Area Number |
19790467
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
粂 潔 Tohoku University, 病院, 医員 (30431563)
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Keywords | 膵癌 / 遺伝子変異 / SPINK1 |
Research Abstract |
平成19年度の検討では通常型膵癌患者群120例、慢性膵炎患者群159例および健常対照群527例について、十分なインフォームドコンセントにもとづき、SPINK1遺伝子解析を行った。末梢血白血球よりgenomic DNAを抽出し、SPINK1遺伝子のN34S変異と[-215G>A;IVS3+2T>C]変異について、それぞれ制限酵素TspRIとBglIを用いたPCR-RFLPとダイレクトシークエンスにより解析した。N34S変異を散発性膵癌患者の3例(2.5%)に認め、コントロール群の2例(0.4%)に比べ通常型膵癌患者で有意に高頻度であった(p=0.0467)。[-215G>A;IVS3+2T>C]変異は通常型膵癌患者群とコントロール群のいずれにおいても認めなかった。SPINK1変異を有する慢性膵炎患者における膵癌合併は23例中3例(13%)であり、変異のない慢性膵炎患者136例中3例(2.2%)に比べ高率であった。通常型膵癌と慢性膵炎に合併した膵癌を合わせた全膵癌患者126例では6例(4.8%)がN34S変異を保有し、コントロール群に比べ有意に高頻度であった(p=0.0009)。また現在、血清を用い質量分析によりN34S変異の同定する解析系の確立をめざしているが、まだ研究途上であり平成20年度の完成を目標としている。これまでに得られた知見からは、SPINK1遺伝子のN34S変異は通常型膵癌および慢性膵炎に合併した膵癌の強い危険因子と考えられる。変異解析によるこれらの膵癌高危険群の設定が膵癌の早期発見に寄与する可能性がある。
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