2008 Fiscal Year Annual Research Report
オーダーメイド治療を視野に入れた、B型肝炎抗ウイルス療法の基礎的検討
Project/Area Number |
19790471
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五藤 忠 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 助教 (40444088)
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Keywords | B型肝炎ウイルス / 抗ウイルス療法 / 薬剤耐性 / TaqMan PCR |
Research Abstract |
1. 抗ウイルス剤に対する薬剤耐性において、その原因となる遺伝子領域がわかっているB型肝炎ウイルス(HBV)は、オーダーメイド治療を考えた場合に対策が立てやすい。我々はHBVの野生株,ラミブジン耐性株に対する薬剤の効果を簡便にin vitroスクリーニングできる系を確立しているが、患者血清から得られる臨床のHBVをクローニングし、耐性株のデータを収集、in vitro系で新規薬剤の効果検定を行なう計画である。 2. 血清は抗ウイルス薬投与中・投与前のものを含め、80検体以上保存、順次クローニングを行っている。そのsequence確認の過程で、血液中にゲノムが少しずつ異なる複数のHBV株が存在すること(=quasispecies)が課題となった。臨床においても少数の薬剤耐性株が、多数を占める感受性株(すなわち野生株)に「マスク」され、抗ウイルス薬の使用→感受性株の減少→薬剤耐性株の顕在化が、報告されている。現在コマーシャルベースの検討では高ウイルス量且つ20-30%の変異株の存在がないと検出不能とされる。そのため、まず、dominant株の中からよりminorな株の検出感度を上げることの検討を行なった。 3. 問題となっているラミブジン耐性、いわゆるYMDD変異に関して短時間で検出できる系の確立を目的とした。YV(I)DDへの変異を検出するためには、過去にDirect Sequencing、RFLP法、INNO-LiPA法などが報告されている。今回TaqMan-MGB probeassayを行なった。条件設定により、現在YVDDに関しては100コピー中に10%の存在、YIDDに関しては500コピー中に10%め存在の検出が可能となった。 4. HBDDNAが、2.6logコピー(最近までのコマーシャルベースの検出限界量)未満の臨床検体でも、変異株を検出できた。 5. 21人の臨床検体を用い、同法の有用性をDirect Sequencing法、INNO-LiPA法と比較したところ、それぞれの方法で15症例、11例、9例の変異株を検出でき、同法でもっとも良好な結果が得られた。 まずは、今後さらにラミブシン以外の耐性株についても上記手法を検討する予定である。
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Research Products
(3 results)