2008 Fiscal Year Annual Research Report
消化器疾患へのLI-cadherinの関与とその分子機構の解明
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19790473
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高村 昌昭 Niigata University, 医歯学・総合病院, 医員 (20422602)
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Keywords | LI-cadherin / 肝内胆管癌 / 脈管浸潤 / 予後因子 / siRNA / マイクロアレイ / MTF-1 / PIGF |
Research Abstract |
20年度はLI-cadherin高発現肝内胆管癌培養細胞株IHGGKに対しLI-cadherinに対するsiRNAを用いたin vitroの検討を中心に行った。LI-cadherin siRNA導入後の発現抑制の最も顕著な48時間後にLI-cadherin siRNA導入株とコントロール株間でマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子解析を行った。コントロール株に比し、LI-cadherin siRNA導入株で2倍以上の発現上昇がみられた遺伝子は12遺伝子、2倍以上の発現低下がみられた遺伝子は9遺伝子であった。前年度の臨床病理学的検討(LI-cadherin発現消失は脱分化や脈管浸潤と相関する)をふまえ、LI-cadherin siRNA導入株で発現上昇のみられた遺伝子metal-responsive transcription factor-1(MTF-1)に注目した。MTF-1は種々の刺激で活性化される重金属依存性転写因子で、発生や分化に重要な遺伝子群の制御をしていることが知られている。MTF-1の制御遺伝子の一つにVEGF familyに属するplacenta growth factor(PIGF)があるため、VEGF family(VEGF-A, B, C, D, PIGF)のLI-cadherin siRNAにおける発現変化をリアルタイムPCRで検討したところ、PIGFのみがコントロール株に比しLI-cadherin siRNA導入株で発現が有意に上昇していた(P<0.05)。肝内胆管癌症例の免疫染色を検討したところ、LI-cadherin発現陰性症例でPIGFの発現および腫瘍内微小血管密度が有意に上昇していることが判明した。結論として、LI-cadherin発現消失によりMTF-1・PIGFの発現が上昇し血管新生を促進することが示唆され、肝内胆管癌の腫瘍進展のメカニズムの一つとして考えられた。
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