2007 Fiscal Year Annual Research Report
レニン-アンジオテンシンシステム抑制による胃発癌予防効果の検討
Project/Area Number |
19790479
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
杉本 光繁 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, 助教 (80397398)
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Keywords | 胃癌 / レニン-アンジオテンシンシステム / キマーゼ / アンジオテンシノーゲン / ヘリコバクターピロリ / 遺伝子多型 / ACE |
Research Abstract |
本研究は、ヘリコバクターピロリ(HP)感染時における疾患多様性を規定する可能性があるレニン-アンジオテンシン(RA)システムに関連した遺伝的背景を明らかにし、特に胃癌の高危険群を遺伝子検査にて絞り込む方法の確立を平成19度の目標としていた。アンジオテンシノーゲン(AGT)やACE、キマーゼ、ATII受容体遺伝子などには遺伝的な多型性が存在し、その遺伝子多型により各分子の産生量に個人差が生じ、その活性度が個々により異なる。そのため胃癌を含めた各臓器の癌の発症においてもRAシステムの各分子の遺伝子多型が関与する可能性が考えられるが、胃癌発症における検討はない。報告者は、平成19年度はAGTやACE、キマーゼの遺伝子多型が胃癌発症における影響を検討し、AGT遺伝子多型(AGT-20)の高産生性アレルであるCアレルの保持者の胃癌発症リスクが1.69倍に増加し、CMA遺伝子多型(CMA/B)の高産生性アレルのAアレル保持者で2.22倍に増し、特にAA型の遺伝子多型で7.12倍と有意に危険度が増すことを示した。また、両SNPの高産生アレルの保持者は4.70倍に発症リスクが増加した。病理組織学的な検討でも胃粘膜の萎縮や炎症程度に遺伝子多型が影響を及ぼし、遺伝子多型別にその程度が異なることも明らかにした。このことから、胃癌発症にはRAシステムが関与することが明らかとなり、RAシステムを考慮して胃癌の高リスク群の抽出し、そのような症例に対して厳重な管理や除菌治療を積極的に行うことで胃癌発症予防や早期発見に繋がり、医療経済学的にも有用となる可能性が考えられる。
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Research Products
(3 results)