2008 Fiscal Year Annual Research Report
肝移植後C型肝炎重症化機構に関与する宿主側要因とウイルス側要因の検討
Project/Area Number |
19790480
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 佳秀 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (90378662)
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Keywords | C型肝炎 / 肝移植 / 線維化 / インターフェロン / リバビリン |
Research Abstract |
1. 肝移植後C型肝炎重症化に関与する宿主側の要因の解析 1999年3月から2007年6月までに当院にて抗ウイルス治療を行った肝移植後C型肝炎症例80例(インターフェロンα-2b+リバビリン40例、ペグインターフェロンα-2b+リバビリン40例)の重症化に関与する宿主側因子について検討を行った結果、血中の胆道系酵素上昇(γ-GTP正常上限の4倍以上またはALP1.2倍以上)が線維化進行に関与することが明らかとなった。胆道系酵素上昇は肝移植後C型肝炎症例の69%に認められ、胆道系酵素上昇を示した症例の半数以上では、インターフェロン治療によるC型肝炎ウイルス(HCV)の減少に伴い胆道系酵素も低下した。すなわち、胆道系酵素上昇は線維化進行の予測や治療適応決定に重要であり、HCVによる胆汁うっ滞性肝炎のコントロールが肝線維化抑制につながる可能性が示唆された。 2. 肝移植後C型肝炎重症化に関与するウイルス側の要因の解析 移植前、移植後3週間、再発時、重症化時、インターフェロン治療前、治療後のそれぞれの段階で、患者血清よりRNAを抽出し、HCVの超過変領域(HVR1)のRT-PCRを行いsequence解析にて遺伝子配列を同定した結果、肝移植前後で異なるHCVクローンが増殖することが明らかとなった。さらに、インターフェロン治療後には特定のクローンが残存することも明らかとなった。現在、これらの特定のHCVクローンHCV-RNA全長をクローニングし、その全塩基配列を同定を行っている。今後、その配列の特徴を検討し、感染・増殖能、重症化に関連するHCV配列を同定する。
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