2008 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌化学療法感受性予測を目指した網羅的なDNA修復酵素の遺伝子多型解析
Project/Area Number |
19790482
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金井 雅史 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (70432416)
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Keywords | 大腸癌 / 個別化治療 / オキサリプラチン / 化学療法 / 神経障害 |
Research Abstract |
2008年4月より医の倫理委員会の承諾を得て、現在大腸癌化学療法におけるkey drugであるオキサリプラチンの個別化治療確立を最終目標としたヒト遺伝子研究(「オキサリプラチンによる神経障害と遺伝子多型との関連に関する臨床研究」)を開始した。オキサリプラチンの登場で大腸癌の治療成績は向上し、海外では緩和療法としてのみならず、術前や術後補助化学療法としての有効性も報告されており、今後臨床の場においてますます広く用いられていくことが予想される。一方オキサリプラチンに特徴的な有害事象として神経障害(しびれ)が知られており、用量規制因子となっているが、個体差も大きい。本研究では主要評価項目をm-FOLFOX6療法6コース終了時点での神経障害と相関する遺伝子多型の探索とし、オキサリプラチンの代謝や治療効果に関係すると考えられている遺伝子の4つのSNP(AGXT C154T、AGXT A1142G、GSTP1 A105G、ERCC1 T118C)との相関を検討した。今回の82症例での解析結果ではGSTP1 A105Gが日本人における神経障害の発症リスクの予測因子として有望な結果が得られたため(オッズ比2.23、95% CI ; 0.86-3.25, P=0.10)別のコホートでvalidateする予定である。ちなみに他の3つのSNPの解析結果は以下の通りであった(AGXT C154Tは全症例がC/CでTのalleleを有する症例なし。AGXT A1142Gはオッズ比2.00、95% CI ; 0.40-9.95,P=0.40。ERCC1 T118Cはオッズ比0.94、95% CI ; 0.35-2.49,P=0.89)。一方副次的評価項目であるオキサリプラチンを用いた化学療法による腫瘍の縮小効果と遺伝子多型に関してはERCC1 T118Cと相関する傾向が見られたため、こちらに関しても2009年度以降さらに研究を進めていく。
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Research Products
(5 results)