2008 Fiscal Year Annual Research Report
大腸および小腸を規定する転写因子群の同定と消化器癌での発現解析
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19790490
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
溝下 勤 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 臨床研究医 (40347414)
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Keywords | 消化器癌 / 形質発現 / bone morphogenetic protein(BMP)-2 / 上皮-間葉相互作用 / 大腸型 / 小腸型 / 胃癌 |
Research Abstract |
【目的】近年、細胞分化の観点から上皮・間葉相互作用の重要性あるいは癌の発生・進展における間葉組織の役割の重要性が指摘されている。上皮系の細胞分化に関して、これまでに我々は消化器癌(胃癌・大腸癌・膵癌など)の発生・進展における胃型・腸型形質発現の重要性を報告してきた。間葉系に関して、平成19年度の本研究で未分化型胃癌の進展・浸潤へのbone morphogenedc protein(BMP)-4の重要性を報告した。今年度は、消化器の器官形成に多彩や役割を果しているBMP-2に注目し主に胃癌組織で形質発現も含めて検索を行った。【方法】正常消化管(胃、小腸、大腸)量および胃癌37例(分化型27例、未分化型10例)にてBMP-2の発現を免疫組織化学的に検討した。胃癌については、胃型(MUC5AC、MUC6)および腸型(MUC2、villin)マーカー、腸特異的ホメオボックス遺伝子Cdx2の発現も免疫組織化学的に検討した。【成績】1. BMP-2は正常消化管(胃、小腸、大腸)のmyfibroblastなどの間葉系細胞で発現していた。また、BMP-2は腫瘍組織(胃癌など)一の間葉系細胞でも発現が確認された。2. 胃癌37例(分化型27例、未分化型玉10例)の検討では、BMP-2の癌細胞での発現が分化型10例(37.0%)、未分化型9例(90%)で確認された(P<0.01)。3. BMP-2発現陽性の分化型胃癌10例中、9例(90%)が胃型形質発現を有していた。4. 粘膜内癌では、BMP-2発現が確認されなかった。【結論】BMP-2は、管腔形成を伴わない未分化型胃癌あるいは胃型形質を有する分化型胃癌の進展・浸潤に寄与している可能性が考えられた。
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