2008 Fiscal Year Annual Research Report
変異型ペプチドを用いた肝細胞癌に対する樹状細胞による免疫療法
Project/Area Number |
19790496
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
江口 潤一 Showa University, 医学部, 助教 (00384371)
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Keywords | 癌 / 免疫学 / 内科 |
Research Abstract |
肝細胞癌患者のほとんどが肝硬変あるいは線維化の進行した慢性肝炎を合併しているため、全身状態の悪化から集学的治療を十分に行うことができないことが多く、副作用が少なく、かつ効果のある治療法の開発が急務である。そのような観点から免疫療法が注目されており、様々な腫瘍抗原を標的とした免疫治療法が検討されている。mAGE-1抗原、Glypicam-3抗原、NY-ESO-1抗原はいずれも腫瘍抗原として広く知られており、肝細胞癌においてもそれぞれ約70%、70%、30%と高い頻度で発現があるとの報告がある。 将来的な肝細胞癌免疫治療の確立のため、まず腫瘍抗原mAGE-1、Glypican-3、NY-ESO-1に対する腫瘍特異性T細胞応答を肝細胞癌治療前後において比較検討した。27例の肝細胞癌患者を対象として治療前後においてCD8陽性細胞を分離し、作製した抗原ペプチドに対するIFN-γ産生能についてELISPOT法を用いて評価した。その結果、治療前には27例中17例で、治療後には27例中17例で陽性の免疫応答がみられた。治療前後での比較では治療前と比べ治療後で免疫応答が増強する例が7例、減弱する例が5例、抗原の種類により応答が増減する例が9例みられた。また、血小板数により癌抗原に対する免疫応答の差異を有意に認め、免疫応答増加例においては減少例や無反応例に比し、有意に血小板値が高値であった。 現在、強い免疫応答を認めた肝癌患者の末梢単核球を利用して抗原エピトープの同定を試みている。これまでGlypican-3についてHLA-B35およびHLA-B40に認識される今までに報告のないT細胞抗原エピトープが存在することが示唆され、詳細を検討中である。
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