2007 Fiscal Year Annual Research Report
カハールの介在細胞による回盲部の運動制御機構の解明
Project/Area Number |
19790500
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
菊田 幸子 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 助教 (10367089)
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Keywords | カハールの介在細胞 / 消化管 / 回盲部 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
カハールの介在細胞(Interstitial cells of Cajal; ICC)は、消化管運動におけるペースメーカーあるいは興奮伝達機構として重要な役割を担うことが知られている。ICCには複数のサブタイプが存在し、各サブタイプは消化管の部位によって異なる分布を示す。本研究では、回盲部の運動制御においてもICCが重要な役割を担っている可能性を考え、ICCの組織学的解析から回盲部の運動制御機構を解明していくことを目的としている。本年度は、モルモット回盲部におけるICCサブタイプの分布様式、形態的特徴ならびに周囲の神経や平滑筋との関係について免疫組織化学的な解析を行った。その結果、回盲部にも豊富なICCが存在し、その分布様式が回盲部の中で細かく変化していることが明らかとなった。神経から平滑筋への興奮伝達に関わるタイプのICCが、回盲弁で密に分布していたことは、ICCが筋の協調した運動の調節、例えば回盲弁の括約機能等に関わっている可能性を示唆している。各サブタイプの形態は、消化管の他の部位で認められる同一サブタイプの形態と類似しており、長く伸ばした突起によって神経に密接していた。なお、回盲弁近傍では粘膜下層においても双極性あるいは多極性のICCマーカー(Kit)陽性細胞が観察された。これらの細胞は、しばしば突起によってマイスナー神経叢と密接していた。また、回盲弁では筋層と粘膜筋板の間で筋束による連結がしばしば認められた。粘膜下層のKit陽性細胞の中には、それらの筋束を包むように突起を伸ばすものや、粘膜筋板と密接して突起を伸ばすものも認められた。粘膜下層のICCについては、これまでほとんど報告されていないので、今回観察されたこのKit陽性細胞がICCであるか否か、そしてICCであった場合、どのような機能を担っているかについては、今後更なる解析が必要であると考えている。
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