2008 Fiscal Year Annual Research Report
カハールの介在細胞による回盲部の運動制御機構の解明
Project/Area Number |
19790500
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
菊田 幸子 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 助教 (10367089)
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Keywords | カハールの介在細胞 / 消化管 / 回盲部 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
消化管の筋層に認められるカハールの介在細胞(Interstitial cells of Cajal ; ICC)は、消化管運動におけるペースメーカーあるいは興奮伝達機構として働く事が知られている。本研究は、ICC関与の可能性を想定し、回盲部の運動制御機構を1CCの組織学的特徴から解明していくことを目的としている。昨年度は、モルモット回盲部におけるICCの分布様式、形態学的特徴ならびに神経や平滑筋との関係について免疫組織化学的な解析を行い、回盲部の筋層にも豊富なICCが存在し、回盲部の中でも、さらに部位ごとに分布様式が変異を示すことを明らかにした。また、Iccの特異的マーカーとして知られるKit陽性の細胞が、回盲部の粘膜下層にも存在する事を明らかにした。粘膜下層のKit陽性細胞は、長い突起を伸ばし粘膜下神経叢や粘膜筋板、あるいは粘膜筋板と輪走筋を結ぶ筋束と密接していた。このKit陽性細胞は、小腸輪走筋の最内層付近に存在するICC-DMPとも密接な関係を示したため、ICC-DMPと類似の性質を持っている可能性が推定された。そこで本年度は、小腸ICC-DMPが特異的に発現しているneurokinin 1 receptor(NK1-R)に注目し、粘膜下層のKit陽性細胞におけるMK1-Rの発現の有無を免疫組織化学的に解析した。その結果、粘膜下層のKit陽性細胞の中にもMK1-R陽性の細胞が認められたが、その陽性率はICC-DMPに比べはるかに低かった。以上の結果から、粘膜下にはMK1-R陽性と陰性の性質の異なるKit陽性細胞が存在する事が明らかとなった。その他の受容体発現の可能性を含め、これらの細胞について更に解析を進める予定である。
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