2010 Fiscal Year Annual Research Report
カハールの介在細胞による回盲部の運動制御機構の解明
Project/Area Number |
19790500
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
菊田 幸子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (10367089)
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Keywords | カハールの介在細胞 / 消化管 / 回盲部 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
本研究は、消化管運動におけるペースメーカーあるいは興奮伝達機構として重要な役割を担うことが知られているカハールの介在細胞(Interstitial cells of Cajal ; ICC)の、回盲部における分布ならびに特徴について組織学的な解析を試みるものである。昨年度までは、免疫組織化学的解析を中心に行い、モルモット回盲部の筋層にも豊富なICCが存在し、回盲部の狭い領域内においても部位固有の分布様式を示すことを明らかにした。また、粘膜下層にもICCが存在し、長い突起によって粘膜下神経叢や粘膜筋板などと密接していることを明らかにした。この粘膜下層のICCの中には、神経伝達物質の受容体であるneurokinin 1 receptor (NK1-R)陽性のものが存在した。そこで本年度は、これらの要素の関係を更に詳細に検索するため透過型電子顕微鏡を用いて微細構造学的解析を行った。その結果、回盲弁の粘膜筋板は、回腸側では筋細胞が密に並んだ厚いものであるのに対し、盲腸側では4~5層の筋細胞が疎に並んだ薄いものであるというように、領域によって異なる特徴を示すことが明らかとなった。粘膜下神経叢周辺には、線維芽細胞の他に、ミトコンドリアが豊富で、細胞膜にカベオラを持つ細胞が認められた。これらの特徴は筋層内のICCと類似しており、粘膜下層にICCの存在することを微細構造的にも示すものと考えられた。これらの細胞と神経要素、粘膜筋板平滑筋などとの機能的接点の有無については、さらに一層の微細構造上の観察を必要としているが、回盲部に密に存在するICCが回盲部の運動制御において重要な役割を担っている可能性が示唆された。
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