2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間接合装置機能からみた食道粘膜防御機構と新たな病態分類に関する研究
Project/Area Number |
19790501
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
大島 忠之 Hyogo College of Medicine, 医学部, 講師 (00381814)
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Keywords | 逆流性食道炎 / タイト結合 / クローディン |
Research Abstract |
本研究では, 食道粘膜上皮様重層扁平上皮初代培養細胞系を世界で始めて確立し, この細胞系のタイト結合発現様式(クローディン1, 4, 7, JAM-1, tricellulin, occludin), サイトケラチン発現様式(サイトケラチン4, 13)が, 生検により得られたヒト食道粘膜上皮の発現と全く同様であることを確認した. この細胞系に酸刺激を行うとpH3刺激では, 電気抵抗値が上昇し, pH2刺激では, 電気抵抗値が低下し, またFSA透過性が上昇した. また興味深いことに胆汁酸(タウロコール酸, デオキシコール酸)刺激とpH3刺激を同時に行うと細胞透過性は上昇し, この透過性上昇には, claudin-7の発現局在変化が関与していることを明らかとした. これはヒトにおける逆流性食道炎に酸以外に胆汁が重要であることを示している. 残念ながらこの細胞系で電子顕微鏡による細胞間間隙の測定は, 刺激のない状況下においても開大がみられ, ヒト生検組織における開大との相関を検討することはできなかった. しかし, ヒト生検組織では, 非びらん性食道炎患者の細胞間間隙の開大は明らかであり, この開大が症状発現に関与していると考えられた. 一方この開大は, 食道粘膜上皮の基底層にみられ有棘層, 顆粒層ではみられないことが明らかとなった. タイト結合蛋白の発現局在も顆粒層にみられるタイト結合蛋白が透過性には重要であると考えられ, 基底層優位に発現するタイト結合蛋白発現と細胞間間隙開大との相関についての検討は今後の課題である.
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