2007 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシノゲンノックアウトマウスを用いた心血管系におけるRAS系の機能解析
Project/Area Number |
19790514
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
原田 睦生 Yamagata University, 医学部, 非常勤講師 (90431642)
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Keywords | アンジオテンシンII / 心筋梗塞 / 左室リモデリング |
Research Abstract |
初めに、提供を受けたマウス10匹の交配を行い、マウス数を実験に必要な数(オスのみで200匹)まで繁殖させた。次に一部は長期予後評価の為にそのまま継続して飼育した上で8週齢に達したマウスから順に体重測定と血圧・心拍数測定を行った。AtgKOマウスは定常状態で血圧60台と低血圧を認めた。これらのマウスにosmotic minipumpを用いてオルメサルタンもしくは生食を4週間投与し同様の計測をおこなった。AtgKOマウスはもともと低血圧であり、オルメサルタンの投与は血圧に影響を与えなかった。一方、野生型マウスにおいては生食群が血圧100台あるのに対しオルメサルタン群は血圧60台と、有意に血圧を低下させた。これはAtgKOマウスがすでにレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAS)が十分に抑制されており、定常状態でAT1受容体がほぼ完全に不活化されていることを示唆された。さらにこれらのマウスに心筋梗塞を作成し、心エコー検査により形態学的に観察を続けたところ、生食を投与したAtgKOマウスは野生型マウスと比較して有意に心収縮能の低下が抑制されていた。また、左室内腔の拡大も有意に抑制されていた。一方、オルメサルタンを投与したAtgKOマウスは生食を投与したAtgKOマウスと比較してこれらの心保護的な効果は示さなかった。オルメサルタンを投与した野生型マウスでは心保護的な効果が有意に認められることから、心保護的な効果はRAS活性の抑制に依存しており、定常状態で十分にRAS活性が抑制されたAtgKOマウスではAT1受容体拮抗薬であるオルメサルタンの効果が出現しにくいということが示唆された。
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