2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790523
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平敷 安希博 Nagoya University, 医学部・附属病院, 助教 (10418741)
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Keywords | 慢性心不全 / 心筋特性 / 予後予測因子 / 心機能 / ドブタミン負荷 / ペーシング負荷 |
Research Abstract |
慢性心不全に対し、病態や予後との関連解析をすすめていくことで新しい病態生理の発見や予後指標の開発を目指し、どのパラメーターが予後予測に有用であるかを明らかにすることを目的として平成19年度の研究を進めた。 2007年、11月に行われたAHA Scientific Sessions 2007において、下記内容について発表した。対象は二次性心筋症を除外した洞調律を呈した特発性拡張型心筋症の連続90症例とした。全例に、通常の両心カテーテル検査に加え、収縮能の指標として左室一時微分の最大値(LVdP/dtmax) を左室等容弛緩の指標として左室圧下降脚の圧半減期(T1/2)を計測し、ペーシング負荷、ドブタミン負荷行い左室圧波形を記録した。対象症例の平均の左室駆出率は36%、血漿BNP濃度は132pg/mlであった。90例中、60例は、いずれの負荷においても交互脈が出現しなかった(A群)。20例が、ペーシング負荷のみ交互脈が出現した(B群)。残りの10例が、ペーシング負荷でもドブタミン負荷でも交互脈が出現した(C群)。各群において左室駆出率や血漿BNP濃度において、有意差は認めなかった。しかしながら、予後に関しカプランマイヤー法で検討した結果、C群はA,B群と比較し有意に心イベントの出現が高く予後不良であった。洞調律を呈した軽〜中等症の拡張型心筋症においでドブタミン負荷による機械的交互脈の出現は心イベントの出現に関与し予後不良の予測因子となりうることが示唆された。この成果は、ペーシング負荷による機械的交互脈の出現のみならず、ドブタミンを用いた薬物負荷による心筋特性もまた予後予測マーカーとなりうることを示し、臨床的に意義深いと考える。臨床的な意義として負荷をかけて心機能評価を行うことで、安静時のデータでは評価し得ない心筋予備能を評価し、古典的な生理学的現象の評価から、分子生物学的な考察を行い、臨床的に予後予測因子の一つとして有用であることを示した。
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