2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790526
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小形 岳寛 Kyoto University, 医学研究科, 研究員 (10402877)
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Keywords | 心筋細胞 / 新規遺伝子 / 心肥大 / 線維化 / 不整脈 / ANP / RhoA / MURC |
Research Abstract |
マウス心臓組織を使ったSerial Analysis of Gene Expression (SAGE)法により、新規筋特異的遺伝子を単離・同定し、この遺伝子がCoiled Coilモチーフを持つことから、Muscle-restricted coiled-coil protein(MURC)と命名した。MURCに対するポリクローナル抗体を作製し心臓内での局在を評価したところ、MURCは心筋(主にZ line)・平滑筋細胞質内に発現しており、特に心筋で高発現してい た。MURCは大動脈狭窄による圧負荷刺激心肥大・心不全マウスモデルを作製しその遺伝子発現を評価したところ、狭窄作製後7日目で有意に上昇していた。このことからMURCは心筋において肥大・不全時に何らかの役割があると推察された。次に、MURC遺伝子をαMHCのプロモーターに結合し心筋特異的過剰発現トランスジェニックマウス(TG)を作製した。TG-MURCは5週齢では心筋肥大を認めたものの大小不同が存在し、13週齢ではコントロールと比べ明らかな心筋細胞の委縮と線維化が認められた。また、TG-MURCではANP mRNA発現上昇とともに心機能低下と完全房室ブロックまたは心房細動も非常に効率に認められた。TG-MURCの表現型がRhoAのトランスジェニックマウスのそれと非常に似ていたためMURCとRhoAとの関連を評価したところ、MURCはRhoA/ROCKシグナル経路を介してANP発現と心筋細胞でのactinの再構成の調節を行っていることを確認した。以上の結果をまとめ、Mol Cell Biol.上に論文として発表した(in press)。現在、MURCと心肥大との関連についてPKC、MAPKの評価を培養心筋細胞、Dahl ratなどを用いて行っており、MURCの心臓における役割をより詳細に検討することにより、心肥大・心不全に対する新しい病態メカニズムを明らかにしたいと考えている。
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