2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規筋細胞特異的遺伝子の単離と心臓における機能解析
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19790526
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小形 岳寛 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 研究員 (10402877)
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Keywords | 心筋細胞 / 心不全 / 線維化 / 刺激伝導系 / 新規遺伝子 / MURC |
Research Abstract |
研究代表者らはSerial Analysis of Gene Expression(SAGE)法により成体のマウス心臓の遺伝子発現プロファイルを作成し、データベースを用いた検索にて筋細胞に特異的に発現している候補遺伝子をいくつか得ることができ、それらについて臓器別のmRNA発現を検討するためNorthern blottingを行うことにより、筋特異的に発現する未知の遺伝子を同定、その単離に成功した。この新規筋特異的発現遺伝子の心臓における病態生理学的な役割を検討することにより、心肥大および心不全に至る新たな分子メカニズムを明らかにすることが出来るのではないかと考えた。 研究代表者らが同定し命名した、新規筋特異的遺伝子Muscle-restricted coiled-coil protein(MURC)は、心筋(主にZ line)・平滑筋細胞質内に発現しており、特に心筋で高発現していた。大動脈狭窄による圧負荷刺激心肥大・心不全モデルでMURCは有意に上昇したが、MURCの心筋特異的過剰発現マウスでは心筋細胞の大小不同が存在し、加齢により心筋細胞の委縮と線維化が認められ、心機能低下と完全房室ブロックまたは心房細動が非常に高率に認められた。さらにMURCはRhoA/ROCKシグナル経路を介してANP発現と心筋細胞でのactinの再構成の調節を行っていることも確認し、MURCは心筋細胞を介した心肥大、心不全の成因の一つとして関与している可能性が示唆された。
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