2007 Fiscal Year Annual Research Report
エリスロポエチンの血管内皮前駆細胞動員作用を用いた新たな血管新生療法の開発
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19790530
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岩瀬 俊 The University of Tokushima, 医学部歯学部・附属病院, 助教 (10403718)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 再生医学 / トランスレーショナルリサーチ / 臨床 |
Research Abstract |
エリスロポエチンの頻回投与は血管内皮前駆細胞の末梢血中への動員を促進することが報告されている。我々は今までに重症虚血肢を有する末梢動脈閉塞症例に対してエリスロポエチン投与を併用した末梢血単核細胞移植が血管新生作用を発揮することを報告してきた。今年度はエリスロポエチンを用いた血管内皮前駆細胞の効果的な動員方法を開発するため、エリスロポエチンを用いた自己貯血症例における血管内皮前駆細胞ならびに各種サイトカインの動態に関する解析を主に実施した。具体的には大腿骨頭置換術を施行するに際して自己著血ならびにエリスロポエチンの単回投与(24000IU)を行った14症例を対象に末梢血中CD34+、CD34+CD133+陽性単核細胞数を自己著血前、著血1週間後、著血2週間後の時点でフローサイトメトリにより測定し比較検討した。自己著血単独群およびエリスロポエチン投与併用群ともに著血後1週間の時点で著血前と比較してCD34+、CD34+CD133+陽性単核細胞数の有意な増加を認めた(CD34+陽性細胞:899±170versus1342±231/ml,P<0.01;CD34+CD133+陽性細胞:604±124versus934±143/ml,P<0.05)。自己著血単独群と比ベエリスロポエチン投与併用群において末梢血中のCD34+、CD34+CD133+陽性単核細胞はより多く増加していた。一方、自己著血後2週間ではCD34+、CD34+CD133+陽性単核細胞数は投与前と変わりなかった。白血球数、血小板数ならびにヘモグロビン濃度はエリスロポエチン投与前後で著変を認めなかった。以上の結果からエリスロポエチン単回投与と自己著血を併用することによりエリスロポエチン投与1週間後の時点で血管内皮前駆細胞の末梢血中への動員されることが示唆された。今後は症例数を増やすと同時に保存血清中の各種サイトカイン測定ならびに血管内皮前駆細胞培養アッセイによる検討も加えていく予定である。
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