2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト成体における血管形成機構の解明及び血管内皮前駆細胞の体外増幅法の開発
Project/Area Number |
19790542
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
和田 美夏 Nihon University, 医学部, 助教 (90420950)
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Keywords | Notch / EPC / 再生医療 |
Research Abstract |
EPCの起源は骨髄であり、in vitroで骨髄の場を再現するために造血幹細胞の維持・増殖能をもつと報告されている骨髄系のストローマ細胞株HESS-5を用いた。まず、これにNotchリガンドであるhJagged-1, hDIl-1を導入することにより、Notchシグナル発現HESS-5を作成した。次に、臍帯血由来CD133陽性細胞をNotchリガンド導入HESS-5上で7日間培養したところ、hJagged-1刺激CD133細胞は、未分化EPCであるCD34+/CD133+細胞や、血管内皮であるCD31+/KDR+細胞が非刺激細胞に比べ1.5倍に増加した。逆にhD11-1刺激細胞のCD31+/KDR+細胞は半分に減少した。これらの相違は、Notchシグナルによる特異的作用であることをNotch阻害剤添加により確認した。また、hJagged-1刺激CD133細胞では、hD11-1刺激細胞に比し、増殖因子であるVEGF-AののmRNA発現が増加し、EPCコロニーアッセイでもよりEPCコロニーを数多く形成し、そのコロニー形成細胞の遊走能や接着能も優れることが判明した。これら細胞のin vivoでの機能をマウス下肢虚血モデルを用いて検討したところ、hJagged-1刺激CD133細胞では、hD11-1刺激細胞に比し虚血部の血流が有意に改善し、病理学的にも血管密度の増加が認められた。更には、投与した細胞が内皮細胞に分化したことも免疫染色により証明した。 以上より、EPCに対するNotchシグナルはリガンドにより効果が異なり、hJagged-1ではEPCへの分化増殖が増強され血管新生能が増加するが、hDll-1では減少することが示された。hJagged-1によるEPCの刺激は、EPCの体外増幅や血管新生能増強につながり、細胞治療の応用を広げる手段となることが判明した。
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